○村雨恭子君 私は、新平和党を代表して、法務委員長一条五月さんの解任決議案について賛成の討論を行いたい、そう思います。
先ほど、同僚議員であります篠原秋穂さんの趣旨説明の最中にひどい人権侵害の発言がありました。私は、それはやじであるとか不規則発言であるとか一切思いません。その発言は明白なセクシュアルハラスメントであり、女性に対する人権侵害です。
(中略)
では、本題の法務委員長一条五月さんの解任決議案について、賛成の立場から述べさせていただきます。
まず初めに言っておきたいのは、篠原さんや、五月さん(発言する者あり)は、一条さんに対して同情的な発言をされています。しかし、私はそうは思いません。そもそも一条さんが法務委員長になったのが間違いだったのです。
なぜ私がこのようなことを言うのか、以下に理由を述べさせていただきます。
盗聴法、組織的犯罪対策法は四月二十八日、衆議院法務委員会の参考人の前で異例の強行採決がなされました。そして、五月二十八日、野党三党が強引な委員会運営は無効だとして抗議欠席する中で、自自公は強行採決をおこないました。そして、六月一日、衆議院本会議におきまして、新平和、民主、社民、リベラルが欠席、共産などが反対する中で法案を通過させました。
そして、六月上旬、この盗聴法、組織的犯罪対策法は参議院へ送付をされました。そこで問題となったのは、どの委員会に果たして係属をするのか、そういうことでした。特別委員会を開くのか、法務委員会に係属をするのか、大変真剣な議論があったというふうに聞いています。そして、この盗聴法、組織的犯罪対策法が警察の問題、通信の問題、それから産業の問題、財政の問題など幅広いテーマに及ぶために、この法案は特別委員会に係属すべきだというふうに強く主張されたというふうに聞いています。しかし、この法案は最終的には法務委員会に係属をいたしました。
そのときに、議院運営委員会におきまして、交通・情報通信委員会、財政・金融委員会、地方行政・警察委員会などと連合審査をするということで了解がありました。了解があったというふうに聞いています。そのことについては与党の理事の方々も了解され、法務委員長に対し説明があったというふうに聞いています。それで法務委員会に係属をすることになりました。
しかし、残念ながら、私たちのたび重なる要望にもかかわらず、連合審査は実現をしていません。
参議院の法務委員会の中で、郵政省の問題や警察の問題、大蔵省の問題、通商産業省の問題など、幅広く問題になりました。私は郵政大臣の出席を求めましたけれども、残念ながら法務委員会におきまして郵政大臣の出席は実現することはできませんでした。
私たちは連合審査を待ち望み、それぞれの各委員会で連合審査を求める強い要望があったにもかかわらず、与党の理事の強い反対によって実現していないというふうに聞いております。これは極めて残念なことです。法務委員会に係属するときの一つの条件として連合審査が求められたにもかかわらず、その約束は守られておりません。私は、今でも差し戻してこの連合審査を実現していただきたい、そういうふうに強く思います。
各種世論調査でも、国民の約六割の反対の声があるにもかかわらず、これは東京新聞七月十八日付一面、通信傍受法案反対は五一%、JNN系テレビ八月三日夕方以降のニュース、通信傍受法案反対五〇・一%などです。こういうふうにあるにもかかわらず、公聴会も中央公聴会しか開催されず、地方公聴会はいまだ実現されていません。
参議院の審議の過程で、通信の傍受、盗聴の方法について数多くの疑問が提起され、とりわけ携帯電話やインターネットの盗聴については、その可否、方法など、技術的な点も含めて多くの点が解明されていません。
ところが、現地調査は一般の電話の盗聴の方法についてNTTの調査が行われたのみで、携帯電話会社やインターネットプロバイダーの現地調査など実現されておりません。インターネット業界から強く懸念の念が表明され、携帯電話については現状では盗聴が非常に困難であるなど、さまざまな指摘があるにもかかわらず、この点についての現地調査は実現していません。
法案についての政府答弁も、法案の明文の内容と反していたり、衆議院と参議院の説明が異なるなど、矛盾に満ちたものとなっており、未解明な点が多々存在をしています。
また、捜査のための通信傍受法案、いわゆる盗聴法案に問題点が多くあり過ぎたため、重大な問題点を含んでいる組織的犯罪対策法案と刑事訴訟法改正案についてはほとんど審議がなされていないのです。
そのような状況下で、去る八月六日夕刻から夜にかけて開催された法務委員会理事懇談会において、自民党の鈴木正孝理事が、八月九日には組織的犯罪対策三法案の審査を行い、その後採決することを提案しました。野党理事は質疑終局に強く反対し、その他の私たち野党のオブザーバーももちろん強く反対をしました。審議は十分されていないと反対をしました。また、非定例日の月曜日に採決前提の審議を行うことに強く反対をしたわけです。
このように、同法案の審議をめぐる状況が審議終結とほど遠い状況にあるにもかかわらず、一条委員長は、委員長裁定と称して一方的に委員会を開催することを宣言しました。民主党円より子理事、リベラルの会篠原秋穂理事、共産党橋本敦委員、社民党福島瑞穂委員、私、新平和党村雨恭子は、このような決定は認められないとして理事懇談会から退席をしました。
このような形で、非定例日である月曜日に法務委員会が職権で入れられたわけです。しかも、御存じのとおり、月曜日八時以降に始まるなど、極めて異常な事態で非定例日、定刻外に法務委員会の審議が始まりました。その細かい内容は他の議員も発言をされていらっしゃいます。
そこで、私が強く申し上げたいのは、盗聴法、組対法の採決など一切存在をして
いない、そういうことです。盗聴法、組対法の採決など存在をしておりません。直ちに法務委員会に差し戻すよう強く要求したいと思います。
委員部に確認をいたしました。採決は少なくとも二回行わなければならない。動議の採決と三案一括の採決。三案一括と言っていなければ、三案を別々に三回やる必要がある。合計四回となります。丁寧にやるならば、まず動議の採決を行うことについての承認、動議の採決、そして三案の採決で、計五回となります。三案一括の採決は、三案一括ということが確認できていなければ無効です。三案別々の採決の場合にも、その一つ一つが特定できなければ無効です。
委員長の認定は、動議採決、三案一括採決ということになります。しかし、そういうことは一切ありません。法案についての名称の指摘なども一切ありませんでした。御存じのとおり、三案一括採決ということも一切ありませんでした。
私は、盗聴法、組織的犯罪対策法ときょうここで申し上げております。しかし、私は、理事懇談会、理事会においては、法務委員長一条委員長より、盗聴法という名称は使わないように、正式の名称を使うように言われました。また、自民党の理事からは、法務委員会においても盗聴法と言えば議事録を削除すべきだというふうに言われました。
○議長(結城静香君) 村雨さん、村雨さん、時間が大分経過していますので、そろそろまとめに入ってください。
○村雨恭子君(続) いえ、まだ続けます。
そこで、私は言いたいと思います。
一条委員長は、法律の名称をきちっと正確に言うべきであるとおっしゃるのであれば、なぜ採決の段階、その前提の動議の段階で法律の名称を正確におっしゃることすらなさらなかったのでしょうか。私は、盗聴法と言っただけで、正式名称を言わないのはおかしいというふうに言われました。三案一括のときでも法案の名称ということは一切言われておりません。
また、採決による可否は必ず宣言をしなければなりません。委員長の主張は、動議採決、三案一括採決というふうに言っておられます。ということは、委員は二回手を挙げなければなりません。しかし、ビデオや現場の確認、もちろん私は法務委員でありますから法務委員会に出席をしていました。現場では三案一括採決の声も一切聞こえていません。採決の可否も宣言をしていません。そもそも、動議の採決か動議承認の確認の採決かすらわかっていないのです。
おまけに、私たちは動議の中身も一切知らされていません。それで私たち委員はなぜ判断ができるのでしょうか。動議と言われ、私どもは中身がわかりません。それで委員に対して挙手しろということはわからないわけです。中身が一切知らされないまま、法務委員会において私たちは態度を決めることはできません。そして、挙手は一度しか行われておりません。つまり、委員長が認定しているような採決は存在をしていないのです。
そして、この日は、委員長の職権で法務委員会を入れ、各委員の質問時間があらかじめ示されていました。
そして、私たち法務委員会はわざわざ二院クラブの佐藤道夫さんにぜひ二院クラブとして法務委員会で発言をしていただきたいということを頼んでおりました。つまり、佐藤道夫さんは二院クラブとして法務委員会に呼ばれながら一切発言の機会が与えられなかったわけです。
もちろん、橋本委員、新井委員、福島委員、私、中村委員、平野委員、大森委員、そして佐藤議員、質疑時間が決められていましたが、それは突然の打ち切りで約束は破られたんです。私の質疑時間、これも奪われたまま、そのままになってしまいました。私の質疑時間は保障されて当然のものです。
そして、私は声を大にして言いたいのは、わざわざ法務委員会が佐藤道夫さんを委員外発言でお呼びしながら、それを全く無視した、そういうことです。彼は、ある集まりで、質問のために二日か三日考えたということをおっしゃっていました。私は、これは明白な質疑権の剥奪であり、期待権の侵害とも言える、そう考えています。
こういう中で強行採決が企てられ、しかもその強行採決の企ては失敗をしたのです。強行採決は存在しません。(発言する者あり)
一条法務委員長は、組織犯罪対策三法案の審査に際し、法案が憲法で規定された通信の秘密を侵し、国民の基本的人権、プライバシーを制限する重大な立法であり、かつ与野党間で多くの意見の相違があるにもかかわらず、十分な審査を尽くすための努力を怠り、委員長の職権で委員会を開会し、野党質問中に質問を打ち切り、採決を強行しようとしました。しかも、自民党の苦し紛れの質疑打ち切り動議さえ可決できなかったが法案は可決したと強弁するなど、その委員会進行はでたらめとしか言いようがありません。(発言する者多し)人柄をどうこうという以前の問題です。(発言する者多し)
○議長(結城静香君) 御静粛に願います。
○村雨恭子君(続) 私は、法務委員会に差し戻してほしい、そしてこのような議事運営を行った委員長の解任を強く求めます。
そして、この参議院の法務委員会の質疑の中で、たくさんの問題点、解決できなかった点があることを申し上げたいと思います。
まず第一に、過去に行われた警察の違法盗聴についてのきちっとした事実究明、謝罪など一切行われておりません。これは盗聴法、組対法を成立させる不可欠の大前提で、これがなければ私は決して成立させることはできないというふうに思っています。
御存じ緒方靖夫さんの事件で東京地検特捜部の捜査を受けて五人の実行犯が特定され、民事裁判で緒方靖夫さんの勝訴が確定をしています。
住民監査請求の裁判において、東京高等裁判所は、警察の組織的犯罪であったと明白に認定をしております。神奈川県本部長は知っていたと推認できるということを、判決ですら述べています。
しかしながら、警察はこの事実を認めません。警察庁長官は、警察は過去においても現在においても電話盗聴など行っていないとおっしゃっています。一度もこの事実を認めておりません。
組織的犯罪を問題にしておりますが、東京高裁は、警察の組織的犯罪であったと、一人の警察官がうっかり違法盗聴を行ったのではなく、組織的犯罪であったと明白に言っているわけです。盗聴……
○議長(結城静香君) 村雨さん、村雨さん。
○村雨恭子君(続) 何でしょうか。
○議長(結城静香君) 時間が経過していますので、それをまとめてください。
○村雨恭子君(続) 盗聴法、組織的犯罪対策法が実現をしたならば、今まで行われたと思われる数多くの情報収集としての盗聴を警察は一切やめるのでしょうか。私は、そう思えません。
丸竹洋三さんという補聴器メーカーに長年勤務していて警察に盗聴器を納入していたことを証言してくださった方がいます。職場の元同僚も、丸竹さんの証言の信憑性を裏づける発言をしました。緒方さんの事件だけではなく、ほかにも数多くの盗聴があったことを推認させる数多くの証拠はたくさんあります。
私が本当に問題だと思うのは、警察にもし自浄作用がなければ、また違法盗聴が行われる危険性が大変あるということです。反省がなければ、起こる可能性は非常にあるのではないでしょうか。(発言する者あり)
緒方靖夫さんの住民監査請求において被告となった警察官の多くは、法廷に出頭すらしませんでした。私は、きちっとしたうみを出すことをしない限り、盗聴法、組対法を成立させることは極めて危険である、そう思います。警察に……(発言する者多し)過去のうみを一気に出す能力がないのであれば……(「ストップ、ストップ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
○議長(結城静香君) お静かに願います。村雨さん、どうぞ発言をお続けください。
○村雨恭子君(続) 誰が登校拒否だって。言ったのは誰だ、おまえ。(発言する者多く、議場騒然)
○議長(結城静香君) 村雨さん、村雨さん、落ち着いてください。
○村雨恭子君(続) 言ったのはあいつじゃないですか。何で私が注意されるんですか。(「おまえが下品だからだろう」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)下品なのはそっちのほうじゃないか。あんたは何様のつもりだ。
○議長(結城静香君) 村雨さん、言葉を慎みなさい。(発言する者多く、議場騒然)御静粛に願います。御静粛に願います。不規則発言はお慎みください。御静粛に願います。
○村雨恭子君(続) 先生、あなたはどっちの味方なんですか。
○議長(結城静香君) 村雨さん、ここは壇上です。お願いですから落ち着いてください。(発言する者多く、議場騒然)――議員の皆さんは自席にお戻りください。(発言する者多く、議場騒然)――議員の皆さんは自席にお戻りください。(「先生を困らせるんじゃないよ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
○村雨恭子君(続) うるさい。悪いのはどっちだ、いい加減にしろ。
○議長(結城静香君) 村雨さん、村雨さん、お怒りの気持ちは分かりますが、どうぞ落ち着いてください。落ち着いてください。(発言する者多く、議場騒然)
○村雨恭子君(続) 何も分かってないよ。
○議長(結城静香君) 村雨さん、不規則発言はおやめください。(発言する者多く、議場騒然)――皆さん、議席についてください。壇上に上がらないでください。村雨さん、どうか落ち着いてください。壇上から降りないでください。
○村雨恭子君(続) こんな状況で何を言えっていうんですか。野次った人が悪いんですよ。早く黙らせてください。(「休憩、休憩」「議事進行」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
○議長(結城静香君) ――わかりました。これにて十分間の休憩といたします。
午後十時三十四分休憩
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