要求した特別委員会ではなく、法務委員会に付託することになりました。
その際、委員外発言を認め、すなわち法務委員会のメンバーでなくても希望する方の、無所属の方の発言を認め、あるいは連合審査を行うことによって充実した審議を行うことの必要性があることが確認されたのであります。岡野議運委員長が法務委員長である一条君に対してこのことをわざわざ伝えたのも、こうした議院運営委員会理事会での熱心な議論があったからにほかならないのであります。(拍手)
○議長(結城静香君) 一文字さん、時間がかなり経過してきております。そろそろまとめていただけませんか。
○一文字花鈴君(続) はい、聞こえています。
にもかかわらず、どの委員会とも連合審査が行われない状況のもとで、自民党の質疑打ち切りの動議を処理しようとしたことは、法務委員長の責任放棄であり、まさに解任に値すると言うべきではありませんか。(拍手)
国民の基本的人権に重大な侵害を及ぼすおそれのある法案について、審議を尽くさないばかりか、強行採決を企てるなどの暴挙は到底許しがたく、委員長の解任は当然であると言わなくてはなりません。
加えて、立正佼成会、PL教団など六十六団体が加盟する新日本宗教団体連合会からも盗聴法案に反対する意見書が提出されています。その内容は次のとおりです。
私ども新日本宗教団体連合会は、昭和二十六年の結成以来、信教の自由、政教分離、宗教協力、国民皆信仰をスローガンに、人類の福祉と世界平和を目指し、教団の枠を超えた数々の活動を行ってまいりました。
さて、今国会の状況を拝見しますと、国民の福祉と平和に深刻な影響を及ぼす法案が短時間に次々と処理されていくことに危機感を持つものでございます。日米防衛協力に関する新ガイドライン関係法が成立し、組織犯罪対策三法案、住民基本台帳法改正案が衆議院を通過し、今国会中にも成立すると観測されております。こうした法案が、自自公連立というこれまで予想することもできなかった枠組みで、十分な審議を尽くすことなく成立してしまうことに、自由と民主主義が崩壊するのではないかと危惧するところでございます。
国会審議をスムーズにするための連立との説明があるようでございますが、審議される法案が国民から真に望まれるような立派なものであれば、与野党こぞって賛成するものと存じます。議席数合わせにきゅうきゅうとすることなく、よりよい国づくりのために政治のあり方を考え直していただきたいと思う次第でございます。
つきましては、基本的人権に深くかかわり、国民の生活に重大な影響を及ぼす組織犯罪対策三法案や住民基本台帳の改正案の審議をいま一度白紙に戻し、将来に禍根を残すことのないよう、慎重な審議をお願い申し上げます。
以上が自民党と友好関係にある宗教団体からの反対意見書でございます。
(中略)
○議長(結城静香君) 一文字さん、一文字花鈴さん、そろそろまとめに入ってください。
○一文字花鈴君(続) はい。そろそろまとめに入ります。
スポットモニタリングの方法も事件の性質で異なるというのが政府の答弁です。上司の命令で盗聴する捜査員は、熱心であればあるほど、全部聞いた上で判断することにならざるを得ません。
ファクシミリ、Eメール、インターネットの場合、会話のように盗聴を中断することは不可能です。法務省が提出した資料によっても、信号全体を傍受し復元の上、必要最小限度の判読により該当性判断を行うとなっており、捜査員がすべてを読むことになり、「検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。」と定めた憲法二十一条二項に違反します。国民のプライバシーという基本的人権を侵害することは言うまでもありません。
三つ目は、携帯電話、特定するのは困難、市民の通話、広く盗聴もされることであります。
技術者を招いた参考人質疑、七月二十七日ですが、とんでもないことが明らかになりました。携帯電話の場合、容疑者の通話だけを特定して盗聴するのは困難でも、束になった一般市民の通話の中から容疑者の会話を盗聴することは可能だということが判明したのです。換言すれば、外見は同じ多数のまんじゅうの中から、一個だけあるこしあんを見つけるために全部試食することを盗聴法案は想定し、それが今の技術でできるというのです。インターネットの盗聴は、プロバイダー、つまりホームページや、Eメールなどの管理者のサーバーの内容を転送するだけできるのです。その上先ほど五月圭介さんが指摘されたとおり、上級者にはほとんど通用しません。つまり、本当に危険な犯罪者には効かないのです。これだけを見ましても、無意味かつ有害な法案であることは明らかであります。(拍手)
(中略)
通信の秘密の保障は絶対的であり、国家はこれを侵害できません。旧憲法のもとでは、法律の範囲内においては通信の秘密を侵すことが認められ、例えば郵便法十四条及び十六条の二に、郵便官署が郵便物を開披し得る場合が規定されていましたが、これは本条によって許されないところとなりました。
したがって、新しい昭和二十二年の郵便法では、第八条「(検閲の禁止) 郵便物の検閲は、これをしてはならない。」、第九条「(秘密の確保) 逓信官署の取扱中に係る信書の秘密は、これを侵してはならない。郵便の業務に従事する者は、在職中郵便物に関して知り得た他人の秘密を守らなければならない。その職を退いた後においても、同様とする。」として通信の秘密の確保を保障しております。これは註解日本国憲法に明確に書かれていることであります。
ただし、通信の秘密の保障は、逓信官署に託された逓信についても、これに私人の所持に属する文書と同様の保護を与えようとするものであるから、犯罪捜査の目的のためには、司法官憲の発する正当な令状によればこれを押収することができます。
イタリア共和国憲法第十五条が、「その(信書の秘密)の制限は、法律に定められた保障に従って、正当な理由を付した司法官憲の令状による場合にのみこれを行うことができる」としておりますのは、同様の趣旨と解されます。
ただ、司法官憲の発する令状によって電話の盗聴を行うことができるかどうかは問題で、対象が不明確であるからこのような令状は認められないというべきであろう、これを侵害する法律は違憲の立法とされることを免れない、このように法律の専門書に明確に書いてあるではありませんか。
日本の刑事訴訟は戦後大きく変わりました。戦前の糾問主義から変わりました。そして、真実の発見は、基本的人権を守りつつ真実を発見する、このように平野先生の教科書にも書いてありますが、国民の基本的人権を侵して、それで捜査ができるということは絶対にありません。憲法三十一条の定める法定手続も、憲法上の権利としてこの捜査上の基本的人権の保護を規定しているではありませんか。
私は、今度のこの盗聴法三法は、まさに憲法の幾つもの条文を侵害するものであり違憲の法律である。その法案を、事もあろうに、採決もせずに混乱のうちに国会で成立させようとした。委員会で審議を打ち切ってしまった。その法務委員長の一条五月さんの責任はどんなに強調してもし切れないほど重いということを主張せざるを得ません。
私は、そういう意味において法務委員長一条さんの解任を強く主張いたしまして、私の解任決議案に対する賛成討論を終わりたいと思います。(拍手)
○議長(結城静香君) 村雨恭子さん。
〔村雨恭子君登壇、拍手〕
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