Seen2,大演説(その3)


一文字花鈴 普通の顔(1.89KB)
○一文字花鈴君 私は、人民党を代表して、篠原秋穂さん外五名発議による法務委員長一条五月さんの解任決議案に対する賛成討論を行います。

 篠原秋穂さんの趣旨説明の最中、許しがたい不規則発言がありました。この発言は、働いている女性への侮辱にとどまらず、男女平等を目指し、その第一歩として男女共同参画社会基本法を修正成立させた国会の意思にも反するのではないでしょうか。失礼ながら、じゃああなたは何をしていたんですか、と聞きたくなる人が男性議員には大勢います。(発言する者あり)
 別に不規則発言した人の尻馬に乗るつもりはありません。何で今更、昔何をやっていたのかをごちゃごちゃ言われなければならないのか、私は全く不思議に思っただけです。(拍手)

(中略)

 解任決議案に賛成する最大の理由は、委員長は委員会の公正で民主的な運営を行うのが本来の任務であるにもかかわらず、一条委員長は、委員会運営を混乱に陥れたばかりか、採決されてもいない法案を採決されたと強弁するなど、二重三重に不正常きわまる委員会運営を行ってきたことであります。(拍手)

 もともと事の発端は、一条委員長がいわゆる盗聴法案を含む組織犯罪対策三法案の審議のため、定例日でもない月曜日に職権で理事会並びに法務委員会の開会を強行したことです。私たちは、定例日を重視し、定例日に審議を行うということでお互い努力をしているわけで、定例日外の開会ということはそれ自体大変許しがたいことではないでしょうか。
 六日の法務委員会理事懇談会において、自民党は、九日の質疑、採決を要求しましたが、野党は、論議は尽くされておらず、議院運営委員会委員長が約束した連合審査と総理出席の総括質疑をやるべきであり、採決は時期尚早、慎重審議を行うことを主張し、意見は対立したまま合意に至らなかったのであります。
 ところが、一条委員長は、野党の当然の道理ある主張に耳をかすことなく、午後十時三十分ころになって三法案の審議入りの強権行使を宣言したのであります。野党側が委員長の強権発動に抗議して退席した後、自民党、自由党、公明党、治民党四党だけで一方的に質疑時間の割り振りを行うなど、異常な委員会運営を容認したのであります。九日の理事会、委員会の開催は、このような一条委員長の職権乱用による開会強行でありますが、野党側がこれに強く抗議したのは当然のことであります。
 その上、一条委員長は、抗議の中、強行開会された同日の委員会において、夜九時前、篠原議員の質問の最中に、突如、自民党の鈴木正孝議員が発言をし、審議を混乱に陥れるという重大な事態を招いたのであります。
 このように、みずからが決めたタイムテーブルさえ無視して、委員長として指名もしていない自民党の質疑打ち切り動議なるものを採用し、委員会審議を打ち切るという暴挙に打って出た一条委員長の行動は、まさに委員長の職責を放棄したものと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 その結果、我が党の議員を初め、共産党、社民党・護憲連合、新平和党、無所属、二院クラブの議員の質問権を奪いました。これは、野党質問中に打ち切り動議なるものを出すという鈴木議員の横暴な姿勢はもとより糾弾されるべきでありますが、この暴挙を容認し、みずから認めていた野党質問を封じるなどという行為は、法案審議打ち切りという暴挙の上にさらに暴挙を重ねるものであり、断じて許すことができません。(拍手)
 審議打ち切りの暴挙とともに、採決されたとされる当日の委員会の事態は、あらゆる面から検証してみても、一から十まで瑕疵にまみれたものであり、採決なるものは一切なされておりません。私は、現場を終始見ておりましたが、委員長は動議提出者の指名すら行っておらず、ましてや採決などなされた形跡はありませんでした。
 参議院先例録第三節の一二一には、「委員会において発言するには、そのとど……」(「都度というんだ」と呼ぶ者あり)すみません。えっと、「その都度、委員長の許可を受けることを要する」となっており、委員会において発言するには、その都度委員長の許可を受けることを要するのであります。委員長の許可を受けない発言は、正規の発言とはならないのです。鈴木正孝さんの発言は、委員長の許可を受けておらず、先例によれば、正規の発言とはならないものです。これは、現場において私は見ておりました。また、繰り返し放映されるテレビのビデオにおいても、委員長は鈴木さんに発言の許可を与えていないことは明らかであります。委員長として指名もしていない自民党の質疑打ち切り動議なるものに手をかしたのです。これは委員長の議事整理権からいっても全く不適切であり、許されないことではないでしょうか。(拍手)
 さらに、採決なるものであります。
 一条委員長は、どの法案が採決されたとおっしゃるのでしょうか。採決は本来、法案ごとに一つ一つ採決をしなくてはなりません。委員長に対しては今更のようなことを申し上げるかもしれませんが、これは基本ではないでしょうか。参議院委員会先例録第一五七は、「採決は、案件ごとに行うのを例とする」とあります。
 組織犯罪対策三法案については、第一に、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案及びこれに対する修正案、第二に、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案及びこれに対する修正案、第三に、刑事訴訟法の一部を改正する法律案、以上五法案に対する採決がそれぞれ求められているのであります。
 このことは速記録を見れば明らかです。速記録では、委員長(一条五月君)後刻、後刻……(議場騒然、聴取不能)鈴木君提出の動議に賛成の方の挙手を願います。議場騒然、聴取不能、委員長退席、このようになっています。どこで採決が行われたのでしょうか。議事録を見る限り、そのかけらも影もないではありませんか。(拍手)採決を示す記述は一切見られません。事実はひや……冷厳です。

(中略)

 この混乱は委員長みずからつくり出したものです。それにもかかわらず、参議院結城静香議長のもとにその直後に報告に行き、採決は存在していると強弁し、参議院議長に審査報告書まで提出しているのです。

 一条五月さんは、本来、委員長として議院の充実した審議を保障すべき立場にありながら、事もあろうに、議員の質問権を封殺し、委員会を混乱させました。公正中立の立場で委員会運営を行うべき委員長としてまことに不適格と言うべきであり、このような委員長を解任すべきことは当然でしょう。(拍手)
 このように強行的に委員会を中断させ、委員会の民主的運営のルールを真っ向から踏みにじり、採決なるものにまで手をかした委員長のこの不当きわまる行為に対して、人民党、民主党・新緑風会、日本共産党、社会民主党・護憲連合、参議院の会、リベラルの会、新平和党、同志会の各会派の国対委員長が連名で、法務委員会は異常な事態での議事進行であり、採決に至っていない、委員会に差し戻して審議をやり直すことを強く要求したのは当然のことです。(拍手)
 解任決議案に賛成する理由の第二は、一条委員長が組織犯罪対策三法の審議に当たって、慎重かつ十分な審議をするために、議院運営委員長から要請を受けていた地方行政・警察委員会、交通・情報通信委員会、財政・金融委員会などとの連合審査を開くべき職責を果たさないままに委員会の審議を強行的に打ち切ったということです。
 犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案、いわゆる盗聴法案にはさまざまな重大な問題点があることが当初より指摘されており、幾つかの関連委員会との徹底した連合審査がどうしても必要であったわけです。
 例えば、通信傍受を実際に執行するとされる警察の姿勢、体質についても重大な問題があります。共産党の元国際部長の緒方靖夫参議院議員宅への神奈川県警による組織的な盗聴事件について、東京高裁が警察官による電話の盗聴という違法行為と明白に判示したにもかかわらず、今日に至るも警察は組織的盗聴は行ったことはないなどと傲慢不遜な態度をとり続けているのです。
 さらには、電子メール、ファクスなどは、関連する情報のすべてが警察により盗聴される構造になっていることは専門家の指摘するところであります。また、マネーロンダリング罪の拡大に伴い、犯罪と金融機関のあり方についても根本的論議が求められているのです。
 このように三法案は、これまでの不十分きわまる審議を通じてでさえ憲法二十一条に違反することが明らかであり…… 結城静香 悲しみの顔(1.44KB)
○議長(結城静香君) 花鈴さん、一文字花鈴さん、携帯電話を掛けながら演説するのはおやめいただけないでしょうか。
○一文字花鈴君(続) 済みません、準備不足でして、いま分からないところを聞いていたところです。(「おまえも真鈴ちゃんの操り人形だろ」と呼ぶ者あり)違います。真鈴と私は一心同体ですから。(「つまり真鈴が原稿を書いたということか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)え、ええ、そうです。(「だったら真鈴がここに来い、目障りだ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)いいでしょう、役割分担なんですから。(「まともに演壇に立てない奴が議員か」と呼ぶ者あり)いちいちうるさいなあ。いま五月さんの話なのに、なぜあたし達の話になっちゃうわけ。(発言する者多し) 結城静香 普通の顔(1.39KB)
○議長(結城静香君) お静かに願います。花鈴さん、とにかく、携帯電話のご使用はおやめください。
一文字花鈴 普通の顔(1.89KB) ○一文字花鈴君(続) 弱ったなあ。――分かりました。それでは、少しお聞き苦しいところもありますが、いましばらくご辛抱願います。(拍手)
 組織対策三法案は、不十分きわまる審議を通じてでさえ憲法二十一条に違反することが明らかであり、許容できない致命的欠陥を抱えた違憲の法律であることが浮かび上がってきているのです。本院における審議を始めるに当たって、我が党は、本法案を特別委員会を設けてそこで十分な審議を行う体制をつくり、テレビを入れた総理質問などを強く要求したしょい、あ、ゆえんでしたね。ご指摘ありがとうございます。ゆえんであります。
 その結果、議院運営委員会で、組織犯罪対策三法案をどの委員会に付託すべきか、
約十日間にわたる各党理事による真剣で熱のこもった話し合いの結果、我が党の
要求した特別委員会ではなく、法務委員会に付託することになりました。
 その際、委員外発言を認め、すなわち法務委員会のメンバーでなくても希望する方の、無所属の方の発言を認め、あるいは連合審査を行うことによって充実した審議を行うことの必要性があることが確認されたのであります。岡野議運委員長が法務委員長である一条君に対してこのことをわざわざ伝えたのも、こうした議院運営委員会理事会での熱心な議論があったからにほかならないのであります。(拍手) 結城静香 悲しみの顔(1.43KB)
○議長(結城静香君) 一文字さん、時間がかなり経過してきております。そろそろまとめていただけませんか。
一文字花鈴 普通の顔(1.89KB) ○一文字花鈴君(続) はい、聞こえています。
 にもかかわらず、どの委員会とも連合審査が行われない状況のもとで、自民党の質疑打ち切りの動議を処理しようとしたことは、法務委員長の責任放棄であり、まさに解任に値すると言うべきではありませんか。(拍手)
 国民の基本的人権に重大な侵害を及ぼすおそれのある法案について、審議を尽くさないばかりか、強行採決を企てるなどの暴挙は到底許しがたく、委員長の解任は当然であると言わなくてはなりません。
 加えて、立正佼成会、PL教団など六十六団体が加盟する新日本宗教団体連合会からも盗聴法案に反対する意見書が提出されています。その内容は次のとおりです。
 私ども新日本宗教団体連合会は、昭和二十六年の結成以来、信教の自由、政教分離、宗教協力、国民皆信仰をスローガンに、人類の福祉と世界平和を目指し、教団の枠を超えた数々の活動を行ってまいりました。
 さて、今国会の状況を拝見しますと、国民の福祉と平和に深刻な影響を及ぼす法案が短時間に次々と処理されていくことに危機感を持つものでございます。日米防衛協力に関する新ガイドライン関係法が成立し、組織犯罪対策三法案、住民基本台帳法改正案が衆議院を通過し、今国会中にも成立すると観測されております。こうした法案が、自自公連立というこれまで予想することもできなかった枠組みで、十分な審議を尽くすことなく成立してしまうことに、自由と民主主義が崩壊するのではないかと危惧するところでございます。
 国会審議をスムーズにするための連立との説明があるようでございますが、審議される法案が国民から真に望まれるような立派なものであれば、与野党こぞって賛成するものと存じます。議席数合わせにきゅうきゅうとすることなく、よりよい国づくりのために政治のあり方を考え直していただきたいと思う次第でございます。
 つきましては、基本的人権に深くかかわり、国民の生活に重大な影響を及ぼす組織犯罪対策三法案や住民基本台帳の改正案の審議をいま一度白紙に戻し、将来に禍根を残すことのないよう、慎重な審議をお願い申し上げます。
 以上が自民党と友好関係にある宗教団体からの反対意見書でございます。

(中略)

結城静香 悲しみの顔(1.44KB)
○議長(結城静香君) 一文字さん、一文字花鈴さん、そろそろまとめに入ってください。

一文字花鈴 普通の顔(1.89KB) ○一文字花鈴君(続) はい。そろそろまとめに入ります。
 スポットモニタリングの方法も事件の性質で異なるというのが政府の答弁です。上司の命令で盗聴する捜査員は、熱心であればあるほど、全部聞いた上で判断することにならざるを得ません。
 ファクシミリ、Eメール、インターネットの場合、会話のように盗聴を中断することは不可能です。法務省が提出した資料によっても、信号全体を傍受し復元の上、必要最小限度の判読により該当性判断を行うとなっており、捜査員がすべてを読むことになり、「検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。」と定めた憲法二十一条二項に違反します。国民のプライバシーという基本的人権を侵害することは言うまでもありません。
 三つ目は、携帯電話、特定するのは困難、市民の通話、広く盗聴もされることであります。
 技術者を招いた参考人質疑、七月二十七日ですが、とんでもないことが明らかになりました。携帯電話の場合、容疑者の通話だけを特定して盗聴するのは困難でも、束になった一般市民の通話の中から容疑者の会話を盗聴することは可能だということが判明したのです。換言すれば、外見は同じ多数のまんじゅうの中から、一個だけあるこしあんを見つけるために全部試食することを盗聴法案は想定し、それが今の技術でできるというのです。インターネットの盗聴は、プロバイダー、つまりホームページや、Eメールなどの管理者のサーバーの内容を転送するだけできるのです。その上先ほど五月圭介さんが指摘されたとおり、上級者にはほとんど通用しません。つまり、本当に危険な犯罪者には効かないのです。これだけを見ましても、無意味かつ有害な法案であることは明らかであります。(拍手)
(中略)
 
 通信の秘密の保障は絶対的であり、国家はこれを侵害できません。旧憲法のもとでは、法律の範囲内においては通信の秘密を侵すことが認められ、例えば郵便法十四条及び十六条の二に、郵便官署が郵便物を開披し得る場合が規定されていましたが、これは本条によって許されないところとなりました。

 したがって、新しい昭和二十二年の郵便法では、第八条「(検閲の禁止) 郵便物の検閲は、これをしてはならない。」、第九条「(秘密の確保) 逓信官署の取扱中に係る信書の秘密は、これを侵してはならない。郵便の業務に従事する者は、在職中郵便物に関して知り得た他人の秘密を守らなければならない。その職を退いた後においても、同様とする。」として通信の秘密の確保を保障しております。これは註解日本国憲法に明確に書かれていることであります。
 ただし、通信の秘密の保障は、逓信官署に託された逓信についても、これに私人の所持に属する文書と同様の保護を与えようとするものであるから、犯罪捜査の目的のためには、司法官憲の発する正当な令状によればこれを押収することができます。
 イタリア共和国憲法第十五条が、「その(信書の秘密)の制限は、法律に定められた保障に従って、正当な理由を付した司法官憲の令状による場合にのみこれを行うことができる」としておりますのは、同様の趣旨と解されます。
 ただ、司法官憲の発する令状によって電話の盗聴を行うことができるかどうかは問題で、対象が不明確であるからこのような令状は認められないというべきであろう、これを侵害する法律は違憲の立法とされることを免れない、このように法律の専門書に明確に書いてあるではありませんか。
 日本の刑事訴訟は戦後大きく変わりました。戦前の糾問主義から変わりました。そして、真実の発見は、基本的人権を守りつつ真実を発見する、このように平野先生の教科書にも書いてありますが、国民の基本的人権を侵して、それで捜査ができるということは絶対にありません。憲法三十一条の定める法定手続も、憲法上の権利としてこの捜査上の基本的人権の保護を規定しているではありませんか。
 私は、今度のこの盗聴法三法は、まさに憲法の幾つもの条文を侵害するものであり違憲の法律である。その法案を、事もあろうに、採決もせずに混乱のうちに国会で成立させようとした。委員会で審議を打ち切ってしまった。その法務委員長の一条五月さんの責任はどんなに強調してもし切れないほど重いということを主張せざるを得ません。
 私は、そういう意味において法務委員長一条さんの解任を強く主張いたしまして、私の解任決議案に対する賛成討論を終わりたいと思います。(拍手) 結城静香 普通の顔(1.39KB)
○議長(結城静香君) 村雨恭子さん。
   〔村雨恭子君登壇、拍手〕

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