Seen2,大演説(その2)


結城静香 普通の顔(1.39KB)
○議長(結城静香君) 五月圭介君。

   〔五月圭介君登壇、拍手〕
○五月圭介君 私は、リベラルの会・千年紀連合を代表して、ただいま議題となりました一条法務委員長解任決議案に対し、残念ながら賛成の討論を行います。(発言する者あり)なぜ残念ながらなのかといいますと、私は一条さんと個人的に知り合っていまして……(発言する者あり)そんな関係じゃなくて。ともかく、篠原秋穂さんも仰られたように、一条委員長の人柄につきましては、私も大変真面目で、誠実だと信じてきました。それがこのようなことになるとは、私にはにわかに信じられなかったのです。
 まず冒頭、先ほど提案者の篠原さんより発言があった際、不規則発言により、大変この本会議場が侮辱を受けました。全く失礼な話だと思います。
(中略)

 さて、いわゆる盗聴法を含む組織的犯罪対策三法は、その名のとおり組織的犯罪に対処するためというのがその立法の根拠だと言われています。しかし、それならば、現在日本の組織的犯罪の実情がどのようなものであるのか、そしてその犯罪の発生の原因は一体どういうところに存在するのか、そしてその対処にはどのようなことが必要なのか、これをそれぞれの犯罪類型、結果を緻密に検証して、それに対する対策を立てることが必要です。

 日本の犯罪情勢はここ数年落ちついています。決して悪化している傾向にはありません。凶悪犯罪を考えてみても、十万人当たりの発生率が、日本はアメリカの殺人では九分の一、強盗では百十三分の一です。暴力団関係の事件を見ると、対立抗争事件、この発生件数は減っています。また、銃器の使用犯罪あるいは銃器の発砲回数も減少しています。覚せい剤犯罪が増加をしていること、これは多くの人が憂慮をしています。しかし、その他の薬物犯罪が増加をしているわけではない。
 薬物が青少年や家庭にいる主婦あるいは多くの市民の中に蔓延をし始めていること、それには多くの人々が胸を痛め、そしてそれに対する対策を講ずるべし、これはだれもが合意するところではないでしょうか。しかし、それが通信傍受、あるいは捜査を強化する、刑罰を強化する、このような対策で本当に減らすことができるのでしょうか。あるいはそれに対応することができるのでしょうか。
 まさに教育であり、また若い皆さんが安心して、将来に夢を持ち、公平で公正に生きられる社会なくして、このような薬物の蔓延を私は減らすことは不可能である。決して重罰化や盗聴でそれを防ぐことはできない。これは多くの皆さんにも納得いただけることではないでしょうか。
 また、組織犯罪というその目的の中でオウム事件などが取り上げられています。しかし、オウム事件は盗聴があったら防げたと本当に断言できるのでしょうか。坂本弁護士事件。
 松本サリン事件など、これらの捜査について警察は情報をきちっと開示し、そしてその捜査の問題点、これをまずきちっと総括することからこそ、オウム事件などへの対処の道が切り開かれてくるのではないでしょうか。
 また、組織的かつ悪質化した組織犯罪を取り締まるためには犯罪捜査手段としての盗聴が必要だ、そう言われてまいりましたが、本当でしょうか。
 政府は、暴力団による薬物、銃器などの犯罪、オウム真理教事件、今申し上げました、また、詐欺商法などの対策のための法案だとこの立法趣旨で述べています。しかし、今申し上げましたように、オウム真理教事件の捜査の問題点は盗聴できなかったことにあるわけではありません。初動捜査の手落ちなど、捜査活動そのものに問題があったと言われています。
 また、暴力団による薬物事犯、これまで検証令状による盗聴が五件行われました。しかし、これで大物が捕まったとは聞いておりません。犯罪捜査のための盗聴が認められれば、暴力団の大物は電話を利用しなくなる、あるいは携帯電話を次々に取りかえていく、あるいはさらに別の抜け道を考えていくでしょう。私も仕事柄、通信についてはある程度の知識を持っています。その経験からしても、犯罪のプロが抜け穴を探すことはいともたやすいことなのです。
 後ほど申し上げたいと思いますが、警察は当初、携帯電話を盗聴できることがこの立法の大変大きな効果だと述べておりました。しかし、審議を重ねるうちに、現在の技術では携帯電話の盗聴は不可能である、困難であることが判明したのです。だとすれば、このような暴力団の犯罪などに対して、この法律が、そして通信傍受という手法が効果がないこと、それが明らかになったと言わざるを得ません。仮に、もっと効率のよい捜査手段が必要だということになれば、次第にその盗聴の幅は広がり、場合によっては室内の会話の盗聴や、あるいはその範囲が拡大していく、予想されることであります。
 また、この立法の根拠として挙げられるもう一つのポイントは、国際的な要請だと言われています。国際的な要請とはどういうものであるのか。確かに、アルシュ・サミットやバーミンガム・サミットなどの国際犯罪特別声明などで、国際的犯罪に対し各国で対策をとるようにとの国際的要請がなされていることは私も承知しています。しかし、国際的要請があるからといってすべて盗聴しなければ いけない、あるいは通信傍受が求められているのか、決してそうではないことを改めて皆さんにも御承知をいただきたいと思います。
 金融活動作業部会が要求しているのはマネーロンダリングだけであること、国際 組織犯罪防止条約の起草のための委員会でも現在議論されているのがマネーロンダ リングであり、通信傍受などはまだまだ先の議論であると言われています。
 また、国際化というのであれば、先ほど提案理由の中でも示されておりました けれども、犯罪捜査だけではなく、むしろ私たち、そして日本社会の人権の貧しさ、あるいは人権問題のおくれ、こういうところにこそ、国際的な指摘に真摯にまず耳を傾けるべきではないでしょうか。
 これまで、たび重ねて国際機関からも日本の人権問題については指摘がなされてまいりました。しかし、法務省はそれには極めて消極的な姿勢しか見せることなく、それに引きかえ、今回の通信傍受、盗聴については、まさに何でものみ込む、何でも捜査の中に取り込む、このような態度でこの法案を提案してきたのです。
 また、片方で、捜査の手法というのであれば、日本の捜査のありよう、あるいは捜査の体系、これを無視して語るわけにはまいりません。
 日本の捜査は、まず長い期間の勾留期間が特徴です。また、世界に悪名高い代用監獄での取り調べ、まさにこの代用監獄問題はこの参議院でもたび重ねて議論になってきたところでもございます。また、冤罪の温床とも言われ、常に国際機関から、あるいは国際人権機関の議論の中でも指摘をされてきたところでございます。さらには、起訴前の保釈の制度がない、あるいは被疑者の国選あるいは公選弁護制度がないこと、また取り調べに対して立ち会うこともできず、またテープなどでの録音も禁じられています。それによって、長い勾留、代用監獄、その間に行われる捜査、その適法性はなかなか外部には見えてこない。そこに我が国の捜査体系の大変重要な問題点があるのではないでしょうか。
 これを全く無視したまま、一方で通信傍受、盗聴という手法を捜査権限として与えること、これが私たちの生活あるいは人権にとって危惧でなくて何なのでしょうか。ぜひそこをもう一度考え直してみる必要があります。 結城静香 普通の顔(1.39KB)
○議長(結城静香君) 五月君、五月君、五月君……
○五月圭介君(続) また、裁判の中でも問題はあります。
 日本の司法の中では違法収集証拠の排除原則が徹底しておりません。また、証拠開示、これも不徹底です。いわば防御する側に極めて不平等なこのような司法のシステム、あるいは構造、それが存在をしている。これも十分認識をした上でこの通信傍受という捜査手法を考えていかなければいけないと、改めて指摘をしておきたいと思います。
 そして…… 結城静香 普通の顔(1.39KB)
○議長(結城静香君) 五月圭介君、五月君、五月君、時間が大分経過しておりますので、そろそろまとめに入ってください。
○五月圭介君(続) まだ続けます。まだ大分ありますので。
 そして、忘れてはならないことは、この法案の運用を担う警察当局に対する国民の信頼が不可欠であること、これを忘れることはできません。しかし、残念ながら、参議院の審議を通じても国民の警察に対する不信感はぬぐい去ることはできませんでした。
 捜査手法として通信傍受が不可欠であると言うなら、先ほども指摘があった、まず、神奈川県警による共産党幹部宅盗聴事件、今その緒方さんが議席に座っておられますが、その真相を明らかにして謝罪する、それが法律制定の前提ではないでしょうか。私も、委員会の中でたび重ねてその指摘をさせていただきました。しかし、警察は一切みずからの責任を明らかにしようとはせず、私の問いには何ら明確なお答えはもらうことができませんでした。この、いまだに未解決のまま、通信傍受、この捜査手法を警察に与えるなどということは、到底許されることではありません。
 さて、審議を続けるに従って、傍受記録を作成しない場合には本人に対する通知義務がないことによるプライバシーの侵害や人権侵害の危険性、通信内容を聞くこともできず、また切断権もない立会人の無意味さ、インターネットや携帯電話は傍受することは不可能であり、盗聴法案に組織犯罪に対する実効性が極めて少ないこと、マスコミに対する通信傍受は取材の秘密を侵害するのではないかなど、ますます多くの問題点が浮かび上がってまいりました。法務委員会はさらに慎重な審議を継続していく必要性を全員が痛感していました。
 ところが、法務委員長一条五月さんは、NTT施設の視察を終えた八月六日の法務委員会理事懇談会において、我が党の理事や野党委員の強い反対にもかかわらず、八月九日の委員会を職権でセットしたのです。そして、八月九日、本会議後、法務委員長は、理事会を我が党の理事や野党委員の出席を待たずして開会し、連合審査の請求や総理大臣に対する質疑の必要性を訴える私たちの訴え、すなわち国民全体の声を無視して委員会の開会を強行することを決定してしまったのです。
 委員長の職務は、委員会の運営を中立を旨として円満かつ公平に行うことです。特に、法務委員長は法秩序の維持と人権を初めとした国民の権利の擁護を所管する委員長であり、規範遵守に対する責務は極めて重いものがあるはずです。その法務委員長が、事もあろうに、円満かつ公平な委員会の運営を求める私たちの声に耳をかすこともないばかりか、今さら何を言っているんですかと一喝されたと私は聞いています。
 私と委員長とは、知らぬ仲ではありません。正直言いまして、篠原さん以上に委員長については評価してきたのです。しかし、強行開会された法務委員会における我が党の篠原理事が質疑を行っているその最中に、突如として一条委員長は、自民党の鈴木理事が緊急動議を提出したとしてこの三法案の質疑を打ち切り、採決を強行したと称しています。
 このとき、私は委員長席のかなり近くにおりました。しかし、自民、自由、公明、治民のそれぞれの議員の怒号などが飛び交い、大混乱が生じている中で、緊急動議が提出されたことも、質疑が終局したことも、まして採決が行われたことも確認することはできませんでした。事実、質疑の終局も、そして採決も行われていないのです。それは先ほどの提案理由でも何度も説明があり、皆さんも十分御承知のところではないでしょうか。
 にもかかわらず、質疑の終局を求める緊急動議が提出され、これを採決した結果、質疑は終局し、続いて三法案の採決を行い、三法案はいずれも可決されたなどと何の根拠も証拠もなく称している一条委員長の言動は、どのように理解すればよいのでしょうか。
 私は今でも、一条委員長がこのような暴挙を自ら考え出したとは信じられないのです。誰か、与党の誰かに操られたのではないかと……(発言する者多し)失礼は承知の上です。それほど委員長のこの行動は予想外のことだったのです。メイ――私は個人的に委員長のことをこう呼んでいるので、敢えてここでもこう呼びますが――メイ、あなたは自分のしたことを、良いことだと思っているかも知れない。悪いという自覚を持っていないかも知れない。しかし、違うのです。メイ、あなたの行為は、議会人として最も大切にしなければならない議会制民主主義の理念を踏みにじり、良識の府である参議院の歴史に大きな汚点を残すとともに、全国民と全世界の人々に我が国の議会における多数の横暴の実態をさらけ出した行為と言わざるを得ない。話し合いで解決しなければならない……(発言する者あり)黙って聞いてくれ、お願いだから。(「それが人に物を頼む態度か」と呼ぶ者あり)あなたの方が失礼でしょう。ともかく、話し合いが基本の議会では、とうてい許されない反則技なのです。 結城静香 悲しみの顔(1.44KB)
○議長(結城静香君) 五月君、五月君、時間が大分経過しておりますので、そろそろまとめていただけませんか。
○五月圭介君(続) この際、委員長の職を解任して、責任の所在を明白にすることは、参議院が良識の府であることのみずからあかしを立てるために当然必要なことと言えます。
 以下、本解任決議案に賛成の理由を具体的に申し上げます。
 賛成の理由は多々あります。私が特に取り上げますのは、法秩序の維持という観点から、去る八月九日の法務委員会における一条委員長の一連の行為がまさしく暴挙であるということです。
 言うまでもありませんが、現代社会はルールを基本として成り立っており、社会の構成員がそれを遵守することによって社会の安定した発展があるのです。特に、権力を行使する立場にある者は、ルールを守ることにはとりわけ重い責任があることはあえて強調するまでもないでしょう。(拍手)
 私は、賛成討論に制限時間をいただいているとは聞いていません。
 ところが、一条法務委員長は、二つの点でルール違反を犯しています。 結城静香 悲しみの顔(1.44KB)
○議長(結城静香君) 五月君、五月君、五月君、五月君、五月君……
○五月圭介君(続) 私は、これをあえて暴挙と呼ばせてもらいます。 結城静香 悲しみの顔(1.44KB)
○議長(結城静香君) 五月君……
○五月圭介君(続) 第一は、そのルール違反が憲法という法体系の基本となる秩序を侵害したことです。 結城静香 悲しみの顔(1.44KB)
○議長(結城静香君) 五月君、五月圭介君、五月君、五月圭介君……
○五月圭介君(続) そればかりではなく、携帯電話の傍受に必要な技術開発とそのための予算措置など、不透明な部分が数多く残されているのです。
結城静香 悲しみの顔(1.44KB) ○議長(結城静香君) 五月君、五月君、五月君……
○五月圭介君(続) さらに問題なのは、通信傍受という犯罪手法が……
結城静香 怒りの顔(1.43KB) ○議長(結城静香君) 五月君、時間の制限はありませんけれども、常識の範囲内でやってください。
○五月圭介君(続) 急速に進展する国際的な高度情報社会にいかなる影響を及ぼすかという点については、これまで全く議論がなされておらず、ようやく問題の指摘が始まったところでもございます。
 これからのインターネットなど情報通信、このような分野では、データ通信だけでなくデジタル技術が生かされたサービスが中心に発展をしてまいります。こうなれば、当然その秘密を保持する、あるいは電子商取引などでもその信頼性を確保するなどの手段が必要になってまいります。インターネットなどでは、暗号技術あるいは認証技術などが不可欠な条件です。しかし、参議院法務委員会の審議の中で、政府は、インターネットなど暗号に対しては、設備、器材、専門家を動員して何としても解読をする、このような姿勢を示しました。
 アメリカの産業界では、国家規模で暗号を解読、規制しようとする政府の動きに強く反発し、そしてクリッパーチップ制やあるいはキーリカバリーなどという暗号規制、これなどを……
結城静香 怒りの顔(1.43KB) ○議長(結城静香君) 御静粛に願います。
○五月圭介君(続) 法律を強く批判し、そして暗号の解読に国家が取り組もうという姿勢を許さない、このような動きを続けてまいりました。
 盗聴法案はデータ通信も対象とし、法務省の現在の見解では…… 結城静香 怒りの顔(1.43KB)
○議長(結城静香君) 御静粛に願います。
○五月圭介君(続) 犯罪とは全く無関係な一般企業のメールボックス等も盗聴の対象となる可能性も否定できません。
 組織としての警察が緻密な情報管理をしていたとしても、傍受担当の警察官個人から情報が漏れるおそれも否定することはできません。これまでの警察があの神奈川県警の盗聴事件すら明確に肯定をしていない、あるいは謝罪をしていない、こういうことから考えても、いつ何どき情報が警察から遺漏する、こういうおそれを否定することは俺は到底できない。
 さらに指摘しておきたいのは、インターネットでの盗聴は電話に比べ、はるかに容易ということです。盗聴器なんて要りません。プロバイダー、つまり業者の元に蓄えられたデータを、警察の元に廻すようにするのはごく簡単な作業でできます。さらにはプロバイダーを介さずとも、ある程度の技術があれば特定の人物を相手に盗聴することも難しくはありません。
 また、デジタルデータというのはアナログデータに比べて保存が利き、しかも検索がたやすく行えます。犯罪と無関係なメールも盗聴されかねないという我々の批判に対し、「警察もそれほど暇じゃない」との反論がありました。確かに、今までの電話盗聴ならその通りでしょう。しかし、インターネットになると…… 結城静香 悲しみの顔(1.44KB)
○議長(結城静香君) 御静粛に願います。
○五月圭介君(続) インターネットになりますと違います。データだけを集めて置いて、いつでも好きなときに検索ができるのですから。あるいは特定の単語を指定して盗聴するというのも、一般に使われているサーチエンジン、つまりインターネット検索を見ればわかりますが、本当に簡単にできます。データというのは一つ一つバラバラではそれほど意味がなくても、互いにつき合わせるとさまざまなことが分かるものです。そしてインターネットの盗聴はこういったデータベースを構築する絶好の手段です。となりますと、より正確な情報を得ようとして、不特定多数を盗聴するのではないかと懸念するのはむしろ当然のことではないでしょうか。
 このような捜査機関に漏れる可能性があるとの疑いを例えば外国企業が抱けば、日本企業は世界から相手にされなくなる、こういうことが言えるのではないでしょうか。取引上の信頼関係を損なうことになれば、これからいよいよ発展していくであろう電子商取引などで日本企業はこれからの国際競争力を発揮できないことになる、これを私は大変危惧するものです。
 また、法案は、国家の管理、規制を緩和して新たな産業を育成していこうという国際的な流れにも逆行するものです。盗聴法案が成立すれば、極めて情報通信分野に萎縮的効果を生じさせ、産業界にも新たなる負担を強いる結果になることを私は懸念いたします。
 この間、産業界からの御意見を十分聞くことはできませんでした。なるほど、公聴会は開かれましたが、それはすでに八月四日であり、最後になってアリバイ的に行われたものに過ぎません。
(中略)

結城静香 悲しみの顔(1.44KB)
○議長(結城静香君) 五月君、五月君、時間に制限はありませんけれども、常識の範囲内でやってください。

○五月圭介君(続) また、それから、NTTの視察はさせていただきました。しかし、審議の中で大変疑問が生じたのは、この法案が成立することによって影響を受け、多大なる負担を負わされ、そしてその事業の運営すらをも危うくされようとしている小規模の通信事業者の皆さんの悲痛な声でもありました。だとすれば、小規模の通信事業者の施設の実情を視察すること、これも当然委員会としての責任であったはずです。
 私の実家も通信に関わる仕事をしていますから、これは決して他人事ではありません。私は実父も含め、幾人かの業界関係者の委員会での証人喚問を要求しましたが、ことごとく却下されたことが残念でなりません。(「圭介が手抜きしたからじゃないか」と呼ぶ者あり)それは違う。それ以前の問題だったのです。これからの新しい二十一世紀、日本の国の行く末、これを考えれば、この通信傍受法案を単なる捜査手段として審議するのみならず、これからの日本の産業のあり方、そして日本の将来像、これをも十分認識した上で、この通信傍受、これについての結論を出すべきではなかったでしょうか。 結城静香 悲しみの顔(1.44KB)
○議長(結城静香君) 五月君、五月君、五月君……
○五月圭介君(続) これらの問題点、まだまだこれからというときに審議が打ち切られ、そしてこれらの道が閉ざされたことに私は強く抗議をするものです。 結城静香 怒りの顔(1.43KB)
○議長(結城静香君) 五月君。
○五月圭介君(続) はい。 結城静香 悲しみの顔(1.44KB)
○議長(結城静香君) 時間に制限はありませんけれども、常識の範囲内でお願いします。
○五月圭介君(続) いえ、もっと長い演説はいくらでもありますよ。
 このような問題点が残されているにもかかわらず、なぜこのような暴挙を冒してまで国民の基本的人権を侵害する重要法案の成立を急ぐのでしょうか。そこには憲法の理念を侵してまでも自自公による政権を維持し、権力に寄りすがろうとする姿しか浮かび上がってきません。
 そのために、国民の人権に深くかかわる法案の慎重な審議を犠牲にして省みないという一条委員長の態度を断固糾弾いたします。 結城静香 怒りの顔(1.43KB)
○議長(結城静香君) 五月君、常識を考えてください。
○五月圭介君(続) 次に、法務委員会における審査の手続に関してルール違反と著しい職権乱用があるということです。
 法務委員会は、法秩序の維持と国民の権利の擁護とを所掌する委員会であることは改めて申し上げるまでもありません。私は、法務委員会は大変これまでも地味な委員会です。普通にはなかなか日が当たらない、あるいは法務委員会の論議がどこかで脚光を浴びるなどということはほとんどない委員会でもありました。
 しかし、法務委員会は、それぞれの議員が公平で公正な社会とそして国民の人権を守ろうという熱意のもとに、真面目な議論を常に展開をし、そして円満に議論をするよき伝統があったはずです。一条委員長もその法務委員会のよき伝統は十分御承知のはずです。私は法務委員会に所属してそれを大変誇りに感じていました。
 そのような貴重な法務委員会の財産が今回の暴挙によってすべて失われてしまったことは極めて残念です。
 一条委員長が委員会運営に関して国会法その他の法規に違反することがあってはならないこと、これは全く当然のことです。国会法四十八条は、「委員長は、委員会の議事を整理し、秩序を保持する。」と規定しています。
 慎重審議を約束しながら途中で態度を一変し、直ちに多数の論理を受け入れるために、質疑を終局し、採決を行ったなどと称し、重要な質疑が続けられていた委員会を突如として怒号と罵声、ばり雑言が飛び交う騒然とした修羅場と化させた一条委員長の行為は、委員会の議事を妨害し秩序を破壊した行為であり、「委員長は、委員会の議事を整理し、秩序を保持する。」とする国会法四十八条に真っ向から違反することは明らかです。(拍手)
 また、一条委員長の行為は、理事との協議に基づくものではなく、国会法第四十八条による委員長の権限を乱用したものにほかなりません。法秩序の維持を使命とする法務委員長にあっては、委員長の職権を乱用するなどということは決してあってはならないことであり、一条委員長は手続に関しては粛々と行い強行採決ではなかったと称していられますが、どこにそのような根拠と証拠があるのでしょうか。このことは、既にマスコミ各社の報道などによってもその事実は明らかにされていますから、あえて繰り返す必要もないだろうと思います。
 ただ、一言だけもう一度繰り返して申し上げたいことは、八月九日の夜、なぜ採決を急がれたのか、私には今もって理解することはできません。
 一条委員長は、八月六日の夜、九日の委員会をセットするに当たっても、我が党の理事が欠席の状態で理事懇談会を開会し、九日の委員会を職権でセットしています。それでも私たちはこの決定に従い、定例日でない月曜日の審査にも応じました。それは、この法案が大変重要な内容を持っており、審査をしてもしてもし切れることがないほど問題が多かったからです。
 そして、我が党の篠原理事の質疑の最中に三法案を採決したと一条委員長は宣告をしています。しかし、我が党の後にもこの日は多数の質疑者の質疑が予定されていました。これは委員長がみずから職権で決められたことでもあります。この質疑は委員会の前の理事会でも承認をされておりました。この理事会で委員長は質疑を行うことだけを発言し、採決のことは一切協議されていないと聞いています。
 ところが、委員会において、緊急動議が提出されたとして、理事との協議を経ることもなく、直ちにこれを採決することすら問題があるのに、質疑予定が組まれている中で質疑を打ち切り採決を行うなど、まさに委員長の職責を踏み外したものとしか言いようがありません。議会制民主主義に対する重大な挑戦ではないでしょうか。 結城静香 怒りの顔(1.43KB)
○議長(結城静香君) 五月君、一時間を経過しています。良識的にやってください。
○五月圭介君(続) 職権乱用というのは与えられた権限に基づきながらその権限の範囲を超える行為であるとすれば、今回の一条委員長の行為は、職権乱用ではなく、職権乱用をも超越した職権を逸脱した反則としか言いようがないものであり、議会人として国民の信頼を裏切る行為であると言えるでしょう。 結城静香 怒りの顔(1.43KB)
○議長(結城静香君) 五月君、いい加減にしなさい。既に一時間を超えています。
○五月圭介君(続) 私は、一条委員長の行為は、良識の府である参議院の人権と法秩序の維持を使命とする法務委員長としては、決してあってはならない行為であり、その責任を明白にするために法務委員長の職を解任することに残念ながら賛成せざるを得ません。メイ、また一から勉強して出直そう。そういうことです。(発言する者多し) 結城静香 怒りの顔(1.43KB)
○議長(結城静香君) 御静粛に願います。──御静粛に願います。
○五月圭介君(続) 私は、先ほど申し上げましたように、法とルールに従って民主的運営のもとに審議が行われるべき国会において、しかも最もそのことに厳格であるべき法務委員会において、このようなぶざまな醜態が繰り広げられたことに、心からの怒りを覚えます。今までも国会はろくでもない印象を、残念ながらしばしば与えてきました。しかし今回は極めつけです。知らないこととは言え、このような茶番に乗ったメイに対しても、私は悲しみを覚えます。(拍手)
 そして、個人的には親しい、一条委員長の解任決議案の討論に立つこと自体に断腸の思いを感じています。
 迫り来る二十一世紀に向けて、真に公平で、公正で、安心して生きることができる民主的な社会を目指すためにも、もう一度みずからそのルールをきちっと見直し、そしてそのルールに戻すことが必要なのではないでしょうか。
 私は、本法案、通信傍受を含む組織犯罪対策三法案、これを法務委員会で再度審議をやり直す、これを求めて皆様の御賛同をいただきたいと思います。(拍手)
 最後に、八月九日の委員会において、我が党の篠原理事の総理大臣に対する質疑を求める質問に対して、一条委員長は、後刻理事会において協議することを約束されました。一条委員長、この協議はいつなさるのでしょうか。これを見ても、まだ法務委員会の審議は終わっていない、そして客観的に見ても採決は存在しない、そのことを改めて指摘しておきたいと思います。
 三法案に潜む問題点は山積しています。まだまだ審議は尽くされていません。今こそ、良識の府として国民の負託にこたえること、それが参議院の私たちの良心ではないでしょうか。
 三法案を法務委員会において継続審議することを最後に改めて強く申し添え、一条法務委員長解任決議案に対する私の賛成討論とさせていただきます。(拍手) 結城静香 普通の顔(1.39KB)
○議長(結城静香君) 一文字花鈴さん。
   〔一文字花鈴君登壇、拍手〕

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