「コミックマーケット72」参加記


○今回、日程が17〜19日とお盆を外れ、全日参加は困難になりました。当初の計画では、初日は捨て2・3日目に専念するつもりでした。
○しかし、ギリギリになって全日参加を決意したため、いつも以上のドタバタになりました。
○例によって原稿は遅れ、16日夜の夜行列車には間に合いそうもありません。それでも半年前よりは幾分マシで、明け方には一応の枚数を用意出来ました。
○一番列車には間に合わなかったものの、三番列車で上京。しかし、2日間の日程を無理矢理3日間に延ばしたため、資金がかなりギリギリです。電車内でうとうとしながら、3日間の同人誌費用と交通費を計算していました。夏は飲食代、特に飲み物代がバカにならないのに、事前にその計算を忘れていたのでぞっとしました。何回参加しているんだおのれは。
○最速なら10時ころに会場に着くはずでしたが、新幹線で居眠りしてしまい、弁当を食べ切れませんでした。仕方がないので品川駅で残りを食べて出発。会場前に着いたのは11時過ぎになっていました。
○列はここ数年に比べ、進みが遅くなっていました。この時間には列がもうほとんどはけていた事もあったのですが。それでも、12時前後には会場内に入れました。
○会場内は近年まれに見る熱気でした。面白いように汗が湧き出します。この汗が「出る」のではなく「湧き出す」感覚も久しぶりでした。今日の目的はSa・Gaとクイズマジックアカデミーサークル。そしてネットの知人関係をお邪魔しました。最初の目的であるSa・Gaサークルにたどり着くにも結構な時間が掛かりましたが、サークル周辺は比較的空いていました。貴重なGB版Sa・Gaサークルではしっかり作品を確保して来ました。ありがたや。
○あるQMA本では、数人の寄稿でしたが、一人だけずば抜けて下手な人がいて悪いですが笑いそうになりました。しかし他人の事は言えないので、これからの幸運に期待します。
○それにしても、所持金を気にしながらサークルを回っていても面白さ半減です。おかげで幾つかはパスせざるを得ませんでした。また、Sa・Gaのある西ホールからQMAの東ホールへの移動の際、これまで委託コーナーだったところがなにやら封鎖されていて、委託コーナーの廃止を痛感(後で知ったところによると、有料の休憩所になっていたそうです)。
○その後知人と会ったりして1日目は終了。

○2日目。朝から眠いので、昼には切り上げるつもりで出発。昨日より早く、9時前には着きました。最近一般参加の時は西にばかり並んでいましたが、久しぶりに東で並びました。しかし、座った途端立たされたり、ゆっくりさせてくれません。
○昨日より早く来たにも拘わらず、列の進みは遅く…。しかし、入場時間は10:40分過ぎでしたので、待ち時間はほぼ同じでした。また、昨日よりかなり涼しく、会場内の熱気もかなり和らいでいました。
○ドラえもんサークルだけ見て回ろうと思い、カタログの少年漫画サークルページをぱらぱらめくりましたが………ありません。カテゴリーとしては幼年雑誌サークルですが、ここにはありませんでした。藤子不二雄作品だから、手塚治虫サークルや石ノ森章太郎サークルの近くだろうと見当を付け、念入りに捜しましたが見当たりません。
○ひょっとして、と1日目のアニメサークルのページをめくってみたら………。ありました。ドラえもんばかりか、藤子不二雄作品は(純粋な原作サークルを含め)全てアニメサークルとして配置されていたようなのです。事前にカタログを確認すればこうはならなかった? 全くその通りです。サークル参加するようになってから、カタログを読まなくなったという本末転倒です。
○何も買わずに撤収するのも癪なので、芸能サークルにウルトラクイズものはないかと捜してみました。しかし発見出来ず、代わりに政治家サークル(政治系は基本的に3日目参加ですが、ワイドショーネタという事かな?)でいろいろ買いました。
○資金と体力に余裕があれば、こういう空白日は企業ブースを回るところです。一応行ってみましたが、あっという間に資金が尽きてしまうので早々に退散しました。
○今回泊まった後楽賓館(後楽ガーデンホテル)。ちょっと変わっていて、日中友好会館内にある中国人向けのホテルです。地下鉄有楽町線に接続していて、都心の移動にも便利そうだと泊まってみました。
○結果論としては、飯田橋駅と水道橋駅のほぼ中間に位置し、どちらにも行けますがどちらからもそれなりに距離があるのでやや半端です(ただし、都営大江戸線飯田橋駅には近い)。また、スタッフも中国人が多いせいか、日本人に対しては若干かゆいところに手が届かない印象を受けました。
○値段の割に部屋は広いので、作業するにはぴったりの環境です。チェックインは14時からですが、少し早くてもいいという事なのでお言葉に甘えさせていただきました。
○このまま明日まで寝たいところでしたが、体調の悪い親戚の様子を見に行く用事があったので出発。ついでに国会子ども図書館に寄る事にしました。
○あさりよしとお氏の『まんがサイエンス』は学研の『5年の科学』『6年の科学』連載ながら、読み応えのある内容でお気に入りの漫画の一つです。私が現役の5年生だった当時は、『5年の科学』のみの連載でしたが、かなり後年になって単行本を初めて買い、絵柄の変化や内容の充実ぶりに目を見張った覚えがあります。
○しかし、実はあさり氏の筆ではない『まんがサイエンス』があるという話をネットで見付けました。確かに、学年誌は4月号での連載開始が普通なのに、『まんがサイエンス』は1987年10月号からとちょっと変わっています。4月号から別の人が始めたが、10月号からあさり氏が引き継いだというのはありそうな話です。
○ホテルで休憩した後の出発なので、子ども図書館の閉館時間が近づいていました。図書館は上野駅から900m。駅からしばらく走りましたが、図書館への曲がり角を通り過ぎてしまい、引き返したため結局歩きとほとんど変わらない15分間を費やしてしまいました…。
○そこでSa・Ga(ゲームではなく、表題の元ネタであるアイスランドの伝説の方)の完訳を読んだりしながら、問題の『5年の科学』1987年度分の閲覧を依頼しました。
○さっそく来たのを読み始めましたが、どうも様子がおかしい。よく見たら1989年度でした。私の字が汚くて7を9と読んでしまったらしい。ともかく、時間も迫って来たので今度こそ7で頼みました。
○結果は、確かに話の通りでした。1987年4月号の『まんがサイエンス』は、協力=学研植物工学研究所、キッコーマン梶Aタキイ種苗梶A絵=清水ますみとクレジットされています。
○清水氏の『まんがサイエンス』は、山下博士を解説役に、めもりちゃんと大洋くんが質問しながら話を進めて行く内容で、あさり氏の現行作とは全く別物です。かわいらしい絵柄で、これはこれで楽しめる内容でした。
○山下博士がハゲで、しかも大洋というキャラクターがいるのは、やっぱり横浜大洋ホエールズ(現:横浜ベイスターズ)の山下大輔氏(現:東北楽天ゴールデンイーグルス編成部長)ネタなんでしょうか。ハゲといっても、てっぺんハゲで両側には白髪が残っていますけれども。
○ともあれ、清水氏による連載が8月号まで続き、9月号では休載(自由研究コーナーのカットとして登場)。10月号から『まんがサイエンス』の作画が突然あさり氏に代わり、そして現在に至っています。
○学研の小学生向け雑誌『科学』『学習』シリーズは、連載作品があっても、基本的にはその場限りの内容です。単行本になるのはかなり珍しいケース。『まんがサイエンス』の場合は、あさり氏の内容が好評であったために、異例の単行本化が実現したのでしょう。そのおかげでこうして調べる気になった暇人が現れたのですが、たぶん、単行本化されていないあまたの連載にも、同じような例はまだまだあるのだと思います。
○さて、用件が済み図書館を後にしましたが、上野駅で帰り用の青春18きっぷが無い事に気付き大あわて。降りた時は間違いなくあったので、すわ図書館に忘れて来たかとまた図書館へ。幸い裏口から出て来た司書の方に事情を話し、果たして忘れ物として届けられていたので命拾いしました。
○しかしここで時間と体力を消耗した悪影響は大きく、親類のところにたどり着いた時にはとっぷり夜も暮れ、足は痛くなっていました。
○ちょっとした世話を焼いたり、休憩したりしてからホテルに引き返しました。製本をしている間に午前1時を回ってしまったので、お休み。

○3日目。目覚ましは6時セット、7時出発の予定でしたが、ちょっとぐずぐずしている間にもう8時。サークル参加は何時だっけ………。げげっ! 9時だ。
○都営大江戸線飯田橋駅に入りましたが、何とここの入り口は地下鉄有楽町線の駅とは繋がっておらず、地上に逆戻り。ようやく有楽町線飯田橋駅に着いた時には8:20を過ぎていました。駄目です。間に合いっこありません。
○豊洲駅でゆりかもめに乗り換え。ゆりかもめは、びっくりするほど空いていました。
○結局、会場着は9:20過ぎで遅刻待機列に並ぶ羽目に。さらに一般入場時間の10時になっても、開始直後は殺到する参加者を捌くために入場を許されず、ようやく許されたのは10:20過ぎでした。余裕を入れて考えるなら、30分の遅刻で1時間さらに余計に棒を振った事になります。遅刻して初めて身にしみる、遅刻の辛さでした。次は気を付けます。
○お隣のうち、片方はこれまた遅刻。もう片方に挨拶をして、あたふたと準備。
○お隣の「赤色土竜党」は学生運動スタイル(機動隊員に殴られてもいいようにヘルメット、顔写真を取られてもいいようにマスク、そして運動方針を示したゼッケン装備)で参加されていました。間近で見るとやっぱり威圧的な扮装です。また、眼だけが見える(実際にはさらにサングラスで隠す事もあるようです)ので、精悍さが強調されていた感じでした。東京都知事選の結果などについて、雑談。
○お隣さんはなかなか人気で、そのついで見のおかげか、結構人が来てくれます。とにかく私の出し物はページがやたら厚い事が特徴なので(^^;、内容の充実ぶりを強調しました。
○「俗流若者論」批判の後藤和智氏や、「しょむ(諸派・無所属)系政治勢力研究会」の水野松太朗氏らと初対面。私はいわゆる泡沫候補の扱いにはそれなりにこだわりがあり、水野氏とひとしきり話し込みました。水野氏の政治家への評価はかなり厳しく、基本的に与党に批判的ながら、野党に対しても「姫の虎退治」で一躍知られた姫井由美子氏や、元社民党の代議士で、現在は沖縄市長の東門美津子氏に対しても辛辣な評価をしていたのが印象的でした(ネットでは誤解される恐れがあるので表現を抑えている、とのことです)。
○また、「自民党ばかりマスコミは報道するのに、なぜ自民党支持者などマスコミは野党偏向していると主張する人が多いのか」と質問したところ、水野氏は「自民党は批判も評価も報道されるけど、他党は始めから眼中にない。政治報道は初めから自民党のことだけと思ってしまうから、自民党への批判記事を見てそう思うのではないだろうか」という意見でした。
○いわゆる「諸派・無所属」候補や選挙について、この他にもいろいろ話しました。
○この他、別の方から『盗聴法について考える』に載せている、ニーメラーの詩について、「それに近いことは言っていたようだが、表現がまちまちで、こうした詩として本人が残したという確証はない」旨の指摘を頂きました。
○個人的にも以前少し調べましたが、ドイツでのナチス抵抗運動に加わり殺された方の遺族が書いた『白バラは散らず』に収録されているものが元ネタという話を目にしたので、近く目を通した上、指摘された点について加筆修正する予定です。
○正午過ぎ、買い出しのため席を外しました。記事をするためコピー室に行こうかとも思いましたが、時間的に難しいと判断し断念。西ホールは捨て、東ホールの目星を付けたサークルを一通り回りました。
○同人エロゲー『サキュバスクエスト』のサークルでは恐らくサークル主の方が登場人物「シトリー」に扮していました。そうかステラさん金髪は染めているのかー(^^;。リンク先は18歳未満禁止なので注意です。
○『まいっちんぐマチコ先生』、『3年の科学』にも載っていたのがあったなーと思いつつえびはら武司氏のサークルに行ったり、参加するたびに抑えていると学会の会報を買ったりしていました。カタログ首っ丈で東ホールを行ったり来たりしていましたが、かなり無駄の多い行動を取ってしまいました。
○知人に頼まれたサークルに行ったりしているうちに、時間が過ぎてほどほどに切り上げ。と学会の新刊は確保した物の、クイズサークルは来場が遅すぎて全て売り切れでした。残念。
○そして帰還。お隣さんによれば、買いに来た人に1部売っていただいたとのこと、感謝。
○隣の隣のサークルで、来訪者が口論を持ちかけていました。その時はなだめられて別の場所で続きをする事になったようですが、この事件がどういう事なのか、まだ私はその意味を知りません(興味のある方は、「コミケット72で発生した盗撮事件について」を御覧下さい)。
○『盗聴法について考える』については既報通りほぼ完売でしたが、既刊は全く売れない好対照で、16:00のコミケット72終了を迎えました。ちなみに、赤色土竜党では「インターナショナル」を歌っていたようです。
○宅配便で荷物を送った後、初めて反省会の時間まで居残りました。けれども、更新情報にも書いたように、雰囲気に圧倒されて終わりました。晴海開催時代(遅くとも1995年)以前からの古参参加者の皆様が中心で、独特の雰囲気を感じました。
○現役自衛官の方が、制服での参加について質問して来いと上官に命じられた、回答を得られないと休暇は認めないと言われたと言いつつ質問し、場の喝采を受けていたのが印象的でした(自衛官、警察官など一部の職業は、いざという時紛らわしいという理由でコスプレが禁止されている。ところが、本物の人が制服を着て来る場合も、現状はコスプレ扱いを受けてしまう)。しかし肝心の回答を聞き漏らしてしまいました。終了後、設営マニュアル配布に見事な列が出来、つい僕も並んでもらって来ました。

○宵闇が迫って来ました。たまたま隣で歩いていた方に話しかけたところ、バスの方が安くていいといわれたので浜松町駅前までバスで同道。最終便らしく、割と空いていました。しかし、途中のフジテレビ前バス停で満員に。
○後は夜行の時間まで適当に時間を潰したり土産物を買った後、帰りました。
○同人の皆様、お疲れ様でした。そして、お世話になりました。

管理人 K・MURASAME(急行デューン号/上野 良樹)       

2007年9月2日      

最終更新 2007年9月7日      


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