コミケット72で発生した盗撮事件について


 まず、盗撮事件(襲撃未遂事件?)についてなのですが、もともと情報源が黒に近い灰色です。
 それは信用性の問題よりも、「SNSを使用した、mixiの非公開コミュニティでの発言を暴露した」行為についてです。
 そういうわけで、あえてリンクは貼りません。plummet氏の「世界の中心で左右をヲチするノケモノ」http://d.hatena.ne.jp/plummet/20070818が問題の暴露内容です。
 もっとも、私はmixiの会員ではありませんし、誰かに会員にしてくれと頼む勇気も今のところ無いので、内部事情については確かめようが無い事をお断りして置きます。繰り返しますが、ここで暴露されているのは不特定多数の閲覧を前提としていない、私的な文書であり、暴露そのものに非合法の恐れがあるものです。

 時系列にすると、大略以下のようです。

  1. 6/30 「6・30アキハバラ解放デモ」が秋葉原で行われる。
  2. 6〜7月 デモ主催者のmixiコミュニティに、主催者に過激派の人間がいるなどと主張する者が現れ、喧嘩になる。
  3. 7月 コミュニティが荒らされたために、主催者側は非公開コミュニティを設け善後策を協議する(これがplummet氏の暴露した文書)。主催者の一人が、同じ大学にいる、中核派の構成員と私的な付き合いがあったのは事実との事。
  4. 上記の文書で、名誉毀損で荒らしへの法的措置を講ずるという発言の後、取材スタッフに偽装して相手の映像を取ってやれというもの、また別の人の発言で、(「女装オタがヒス起こしやがって」「中核派」などの発言の主に対し)「コミケで〆ましょう」と書き込む者も。
  5. 8月上旬? 上記の文書、主催者に荒らしと認識された側が入手。対抗策をとる。
  6. 8月17日 主催者が押しかけると明言したサークル主のところに、無断の写真撮影(コミケットの規約違反)を試みる者が現れ取り押さえられる。この人物が誰であるかは確定出来ないが、主催者の一人であるSyuu-Chan氏ら数名がこの件でコミケット準備会側に注意を受けたのは確からしい。

 以上がこの事件の顛末です。

 mixiコミュニティの主催者側の対応については、最善かどうかは分かりませんが、公開された文書ではない以上、主催者が削除しようと特定の参加者を追放しようと論評のしようがありません。公開された掲示板などなら、削除の有無を巡って公に論争する事は可能ですが、mixiは会員制である以上、一方が勝手に内部事情を暴露するのは妥当とは言えないでしょう。
 また、公開・非公開を問わず、管理人に削除されたり出入り禁止された人が「言論弾圧」と主張するのもおかしな話です。雑誌で自分の投稿を没にされた人が、言論弾圧と主張するようなものです。この主張が通るなら、出版は成り立たなくなるでしょう。
 ただし。

(ここまで1日未明執筆分。20時過ぎて有明ワシントンホテル予約開始日であった事に気付いた。もちろんとうに満室。この記事を打つのに気を取られて忘れていたとは忌々しい。では続き)
 いくらバカにされたと言っても、のこのこ盗撮に行った時点でおしまいです。法的措置を取るにしても、当然情報収集は合法手段を取らねばならず、相手が公にしないのであれば、氏名不詳での告訴も已むを得なかったでしょう。それをしなかったのは、弁護の余地がありません。
 個人的には、その場で相手をぶん殴って喧嘩になる方がまだマシだったと思います、同じ悪事なら。こっそり写真撮って自宅を捜そうというのがいかにもせこい。

 ところが、ここで話が終わらなかったのは、これを奇貨として、主催者に荒らしとされた側が明らかなデタラメを流し始めたからです。
2007年08月19日 コミケ襲撃犯は第一日目の段階で既に現行犯で確保、事態は既に解決済み
2007年08月21日 コミケ襲撃計画に対する警察の介入事実」(いずれもJSF氏)
アキハバラ解放デモ批判者へのコミケでの襲撃計画が発覚」(『にゅーあきばどっとこむ』無署名記事)
6・30アキハバラ解放デモ主催によるコミケテロ まとめ」(無署名、不特定多数による編集)

「今回の事件は、もし共謀罪が成立していたら、最初に襲撃計画が露見した段階で警察の手入れが入り、首謀者全員が検挙されていた筈です。彼ら左翼が何故、共謀罪に反対するのか、その理由を垣間見た気がします。」(JSF氏、19日の文書より)と、なぜか共謀罪推進を訴え始めるあたり、彼がこの件を取り上げる「理由を垣間見た気がします」が、ここは話を進めましょう。
 ただ、「現行犯」と相手を犯罪者扱いしながら、「逮捕」の用語を使っていないあたり、批判に対する逃げ道を作っています(*通常逮捕が可能なのは令状を得た警察官、検察官、検察事務官などに限られるが、現行犯は例外で誰でも逮捕可能)。もっとも、警視庁見解によればこれでも逮捕の意味になるそうなので(後述、inumash氏のBlog内通りすがり氏の問い合わせによる)、考え過ぎかも知れません。
 それも当然で、犯罪者として逮捕したわけでも何でもないのです。読者を引っ掛けるための口八丁というべきでしょう。


 この事件のポイントは3つあり、それぞれ関連はありますが、分けて考える必要があります。

これに加えて、個人的には

 もポイントになると思います。

 まず、甲のSyuu-Chan氏らの行動自体は擁護できない、という点では異論はありません。これについてはデモ主催者側が自ら謝罪している事です。これは強調して置きます。ただし、批判は当然、実際に行われた、あるいは計画していた行動に対するものでなくてはなりません。

 しかし、それを逸脱した煽動に対しては、やはり釘を刺さなくてはなりません。そこで乙が問題になります。
 JSF氏の文書を「煽動」と表現しました。これは、盗撮があったという事実を利用して、結果として明らかにおかしい内容になっているからです。
 たとえばこれらの反論。
2007-08-20 ■『アキバデモ実行委員会コミケ襲撃未遂事件(仮)』に関して」(inumash氏)
2007-08-21 とっととぶっとばされる前に、そこから失せろよ」(Artane.氏)
2007-08-21 02:32:38 アキバデモのブースで私が見聞きしたこと
20070821 1日目は館内スタッフとして動いていた私なのですが……。」(new氏)
2007-08-21 ■[同人]アキハバラ解放デモ実行委員会コミケ襲撃未遂事件についての疑問。JSFさんはコミケスタッフをやっているnewさんの記事に何でコメントしないんだろう
 inumash氏のBlogで、通りすがり氏が深川警察署から「本年のコミケットにおいて特定の参加者の警護を行う(行った)といった記録は残っていない。 例 年 通 り 何の問題もなく警備活動を行い、終了している。全く問題はないので安心してください」との回答があったと報告し、「そこで、実際に所轄署による介入があったと記載されているのですから、所轄署の担当課及び担当署員氏名を記載されてはいかがでしょうか?。文字通り公務員による公務の内容なのですから、所属氏名の公開も問題にはならないはずです。
どうしても署員の氏名が公開できないといった場合でも、担当課の公表ができない理由はないはずです」と提言しました。
JSF氏、「警察が、赤の他人に捜査情報をほいほい明かす筈がありません。例えば貴方がもし過激派メンバーだったら、取り返しが付かないですよ。
>所轄署の担当課及び担当署員氏名を記載されてはいかがでしょうか?
対テロ戦で自分の顔が割れる危険を敢えて冒す間抜けな警官などいません。」
 典型的な詭弁です。公務員は全体の奉仕者なのですから、公職に拘わる情報を国民に公開するのは当然の事です。通りすがり氏がわざわざ個人のプライバシーを知ろうとするものではない旨強調しているのに、無視して話を進めるあたり詭弁が板に付いています(現に通りすがり氏には「国民から“捜査上公開出来ない”問い合わせを受けた際には「返答できない」「わからない」とは返答できても「記録が無い」とは返答できません」と突っ込まれている)。
 つまり警察がお前に本当の事をいうはずがないと言いたいのでしょうが、ならば挙証責任は当然JSF氏にあります。でなければ、「対テロ戦」と言い訳すれば、嘘八百中傷し放題と言うも同然だからです。テロ対策だの、それは機密だのと言うのはもっともらしいですが、よく見て下さい、JSF氏は通りすがり氏が検証した内容そのものを否定出来ていません。
 「テロ戦」は誤りを誤魔化す言い訳と見られても已むを得ないでしょう。

 ところで、JSF氏がinumash氏の「協定違反」を非難して(これも他の人に突っ込みを入れられているが、ではJSF氏の記事は何なんだという事になる)「これにより、新たな展開が始まるでしょう。貴方の責任は重いですよ。Syuu-chanに謝ったら済むとか、そういう問題ではありません。」と脅していますが、私には、「〆てやる」と五十歩百歩です。直接危害を加える内容の台詞ではない? ふーん。
2007-08-22 ■今日のどうでもいいあれこれ このエントリーを含むブックマーク」(fake-zizo氏)の匿名氏の書き込みや、http://d.hatena.ne.jp/myhoney0079/20070820/p2(myhoney0079氏)で風来坊氏が、JSF氏らを批判した一人の実名を暴いているなどの行動からは、批判者のあからさまな二重基準が窺えます。
 私個人としては実名を公表するのが望ましいと思いますし、サイトでも本人が伏せていない限り実名表記を優先しますが(ただし、公人と私人ははっきり区別します。私人から消してくれと言われた場合、基本的に応じます)、ここで実名を出す意味は明らかにありません。myhoney0079氏も、確認のためと称して消さずに置いているのがいやらしいですね。
 JSF氏のその後。
2007年08月23日 inumash氏との情報すり合わせ
2007年08月23日 kanose氏の根拠元であるnewさんは180度主張を転換
2007年08月24日 梯子を外された人達(Artane.氏、kanose氏、カモメのジョナさん、人類皆兄弟)
 『スポーツ報知』じゃあるまいし、180度転換とかいい加減な表題を付けるものです。
 最後の記事については「はてなブックマーク - 梯子を外された人達(Artane.氏、kanose氏、カモメのジョナさん、人類皆兄弟) : 週刊オブイェクト」のコメントにもありますし、「2007-08-23 ■あの件について」(高橋直樹氏)や「騒動自体はどうでもいいが」(oneearth氏)、「四トロ同窓会二次会」(まっぺん氏の赤色土竜党内)でも指摘されていますが、甲の件(盗撮事件)を批判する事と、乙の件(針小棒大な煽動)を批判する事は両立しますし、矛盾しません。乙について批判されているのに、甲が立証されたから問題なしと主張するからおかしいと言われるのです。
 また、盗撮以前の主催者側の落ち度については、「四トロ〜」のnoiz氏の2007年 8月26日(日)15時54分8秒の投稿「人間どこでもいっしょだなぁ」が参考になりました。

 続いて丙の件ですが、この件で検索すれば分かるように、この事件について取り上げたあちこちのサイトにデモ主催者は中核派(「中革派」と誤植している人もいる)とのつながりが云々、公安が中核派という監視対象とするような団体に関与している人間がいるとの主張が書き込まれています。
 中には「関与している」「シンパ」(心情的な支持者)と、明らかに意味合いの違う表現を同時に使っている人もいます。

 では、中核派(革命的共産主義者同盟全国委員会)がデモに組織として関与していたのかと言えば、もちろん100%の断言は出来ませんが、まず無いといえます。何故なら公式サイトにも、リンク先の関連団体にも秋葉原デモについて全く言及が無いからです。
 「過激派だから公然と情報を出さないからに決まっている」と言い訳すれば、なるほどそうかと引っ掛かるかも知れません。
 しかし、少し考えれば分かりますように、過激派であっても、全く合法な政党・政治団体であっても(中核派という結社の存在自体は、非合法ではありません。非合法活動を行っていたという意味です)、おのれの政治的成果は誇示したがるものです。それは、中核派のサイトで、各種の集会を取り上げつつ自派のアピールを怠りなく行っている事からも明らかです。これは中核派と抗争を繰り広げた革マル派(日本革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派)も同じ事。
 秋葉原のデモに何らかの形で拘わっていたのであれば、自派の政治的成果として大いにアピールして当然
 JSF氏が唐突に共謀罪を持ち出したのは、1999年当時、盗聴法反対集会に中核派と社民党の人間が同席したと国会で取り上げた平野貞夫氏(当時、自由党)を念頭に置いたのかも知れませんが、これに比べてもあまりにちゃちであやふやな話です(この反対集会は、超党派の反対派が集結したものであった事を付記して置きます)。

 さて、なぜ中核派のかかわりが(有ったとしたら)問題視されるのか。それは、中核派が殺人を含む犯罪事件を起こした実績のある結社であるからです。小林峻一氏の『JRの妖怪』で、中核派による、内ゲバの相手を文字通り叩き殺した場面を描写した犯行声明が引用されていて、ちょっとしたトラウマになりました。
 しかし、本件で過激派の脅威を言い立てた側が、本当に自分に対して脅威と思っていたか。これは限りなく怪しいと思います。
 Artane.氏の27日付の記事のコメントで自らも誇示しているように、JSF氏らが数名で主催者のコミュニティを荒らし回り、挑発を仕掛けたのは事実です。
 mixiで、デモ主催者に対して非難を繰り返したり、さらに事後も方々のサイトで過激派を持ち出して相手を挑発する言動を取っていますが、本当に相手が危険と思ったなら、こんな真似が出来るでしょうか?
 実際にサークルスペースに押しかけられた方はともかく、他の人にとって「中核派」とは相手を攻撃するための便利なレッテルに過ぎないと思います。たぶん、本当に中核派が自分に対して危害を加えるとは考えてもいないでしょう。
 「2007-08-26 ■馬鹿なお前らのためにJSFとplummetが何で中核派とか政治活動にこだわるか教えてやるよ 」(匿名氏)に、同意します。

 「中核派が悪い事をした」から、何を書いても良いんだというなら、もちろん間違いです。批判や糾弾は当然、実際の「悪い事」やその計画に対して行うべきです。
 やっている事に便乗して、やってもいない事を根拠に、デタラメを垂れ流せば反論されて当然です。
 JSF氏の共謀罪持ち出しが批判されたのは、「ちょっと相手を怒らせて暴言を引き出せば、それを根拠にみんな豚箱に叩き込めるぞ!」と舌なめずりして喜ぶさまが見え見えで、あまりに卑しいものだったからです。

 余談ですが、plummet氏とJSF氏はうまく役割分担しているようですね。JSF氏が派手にぶち上げてあること無いこと書き、plummet氏がより冷静を装いなだめすかすという感じで。plummet氏は文書を暴露した立場でありながら、あまり矢面に立たずに済んでいます。
 plummet氏の「彼らは「中核派」や「過激派」そのものではありませんでした(構成員ではないという意味で)が、「強い感情移入」をそちらに向けていたことに疑いはありません。それゆえに、「本物」より危険です。」という発言は一定の正当性がありますが、つまり構成員は危険だ、そうでなくてももっと危険だと予防線を張る事で、自分たちの発言の責任逃れをしているのです。
 plummet氏はサスケット氏の「コミケ襲撃事件における温度差で忘れられた事件」を引き(「2007年8月23日(木) ■[炎上観察記:アキハバラ解放編]情報すり合わせが行われましたので簡易リンク集」)「簡にして要を得た論評」と評しています。
 サスケット氏が指摘するように、重要なのが「相手の身元を暴こうとする馬鹿がいた」一点なのは紛れもない事実です。
 しかし、それは犯人が誰であっても同じ事です。「過激派」云々のレッテルを駆使して、それを実際の行動から一人歩きさせた側が、素知らぬ顔して紹介して良い物でしょうか。


 最後に丁の件です。
 秋葉原デモが叩かれたのは、一つには「オタクは政治と一線を画すべきである」という発想があったようです。
 plummet氏の「「政治」「社会運動」が「オタク」の身近にもあるのだ」という表現からも、「政治」「社会運動」が危ないもので、一線を画すべくという前提があるように思います。(「2007年8月24日(金) ■[炎上観察記:アキハバラ解放編]疑問に対応します 」)
 果たして「オタク」と政治は別で、政治とは他所からやってくる「招かれざる客」なのでしょうか?
 私はそうは思いません。そう思われるのは自由ですし、同人の時に政治の話をするのが嫌われがちなのは確かなので、無理に押しつけるつもりはありません。
 とはいえ。plummet氏の記事にあるように、俳句や和歌には「結社」と呼ばれる集団が存在します。俳人や歌人は、特定の結社に属して作品を発表するのが常態であり、フリーの俳人・歌人は少数派といわれています。
 文学でいう「結社」は今のような意味ですが、いわゆる結社の自由でいう結社とは、継続的な団体全てを指す用語になります。俳句や短歌の結社はもとより、同人サークル、企業、労組、町内会から政治団体、過激派に至るまで結社です。結社としては、趣味も実益も政治も思想も対等な存在です。

 コミックマーケットは「オタクの祭典」と呼ばれる一方、表現の自由を最大の理念として掲げています。しかし、それだけではコミケットは成り立ちません。コミケットは、少なくとも建前上は同人達による集会であり、参加するサークル・企業はまとめていえば結社です。表現の自由に加え、集会を開く自由と、結社の自由が担保されて、初めてコミケットは成り立ちます。
 結社が実際に犯した犯罪に対する懲罰は可能であっても、結社がただいるだけで潰す事は出来ません。万が一戦前のように、結社が許可制になれば、それは十二分にコミケットや他の即売会にとって終わりの始まりになります。
 コミケットは、それだけで十分政治的な存在なのです。政治とは外から来る物ではなく、「内」にあるものです。
 漫画やアニメその他の表現がコミケットにあるのと同じように、表現の一つとして政治も存在します。特別な物ではありません。

 もう一つ。コミケットは、来訪者を全て「参加者」と位置づけています。「お客様」ではないと。
 よく考えて下さい。コミケットの参加者は、思想も趣味も千差万別です。政治思想系に限っても、元過激派もいれば、自衛官もおり、地方議員もおります。政治系としての参加ではない方を含めれば、それこそ自民党の関係者も共産党の関係者もゴロゴロ居るのであって、それを以てコミケットが某党の影響下にある云々と言いだしたら間抜けです(デモ批判者側であるneodada氏の「2007-08-21 ■[デモコミュ][Syuu-chan] “懲りない男”は本当に懲りていなかった。」でも、その事への自覚はあるようです)。
 しかし、コミケットにとっては、これらが全て参加者と位置づけられます。客は存在しないのですから、全員が主人であり、コミケットに集まった同人(≒志を同じくする人達)という事になります。
 お前なんかと一緒にするなとか、仲間面するなとか言われそうですが(似たような批判をされた事があります)、まず相手との意見の違いを認め合う。間違っていると思ったらもちろん批判すればいい。それで傷つく事もあるかも知れない。むかつく事もあるかも知れない。しかし大前提として、相手の存在は認めると。そうあるべきと思います。
 こうして、本件の当事者の多くと、私は自動的に“関係者”になります。みんな仲良く中核派の関係者になりました。ちゃんちゃん。

 …冗談はさて置き。コミケットに政党・政治団体自体の参加は無いようですが、もしサークルなり企業なりとして参加したいと申し出があった場合、コミケットは他のサークル・企業と全く同様に扱うのではないでしょうか。いや、中核派のような過激派であっても、コミケットのルールに従う限りは受け入れるのでは無いでしょうか(もっとも、政治団体がサークルとして参加することは出来ないようですが)。
 逆に言えば、誰かが失策を犯せば、たちまち他の参加者にも被ってくるリスクを意味します。全員同人と位置付けている以上、一部のやった事だから知らないでは済まされないリスクを背負う事にもなります。
 その意味で、盗撮に及んだ行為が全く愚かである事は強調して置きます。
 しかし、そうしたリスクを敢えて背負う意味は何か。
 それは、リスク以上に、参加者を束ねる精神的支柱としての役割が大きいのだと思います。もちろん深く考えず、好きな作品や商品を求める同人も多いのですが、そのために他の同人に迷惑を掛けないようにしようという自制が、全体としては働いています。
 準備会の自画自賛もあるでしょうが、コミケット参加者の落ち着いた統制の良さは、警察にも評価されているそうです。趣味が違うから、政治的に違うから仲間じゃないと思う人間が多数なら、とてもこうは行きません。全部まとめて同人にしてしまえば、怖い物無しです。

 結論。他のサークルを盗撮する輩が同人の敵ならば、法規制を利用して気に入らない結社や思想を潰そうと企むのも、やはり同人の敵と思います。同人達は、集会・結社の自由について大いに意識するべきです。デモや「政治団体」と、同人誌即売会や同人サークルの距離は、思ったほど遠くは無いのですから。
 アキハバラデモは、やはりやり方がこなれていない部分があったと思います。例の暴露文書にも、より幅広い超党派のデモにすべきだったという意見が出されていましたが、確かにその通りです。
 盗聴法反対集会が過激派ネタで叩かれても、影響力が限定されたのは、盗聴法以外では敵対する党派も含め、反対する党派が幅広く集結出来たからです。これはかなり大変な事だったと思います。
 その方向で将来の計画を立てたなら、一部の反対派の思惑とは裏腹に、むしろ同人によりふさわしいデモになる可能性もありました。「政治運動」を理由にデモという手段そのものを非難するのは、むしろ同人にふさわしくない態度だからです。
 しかし、主催者はその可能性を、自ら潰してしまったと思います。
 残念です。


管理人 K・MURASAME(急行デューン号/上野 良樹)       

2007年9月2日      

最終更新 2010年9月8日      


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