○今回、事後の反省会で質問した内容と、コミックマーケット準備会側(筆谷芳行共同代表)の回答を先に載せます。
○反省会は、その回次のコミケットの終わりに開かれます(全ての片付けが終わった後になるので、始まったのは18:30頃でした)。代表(現在は市川孝一氏、筆谷芳行氏、安田かほる氏による共同代表制)による今回の結果、将来の課題などの報告の後、質問コーナーになります。この時間まで残るのは古強者が多いようで、大半が晴海会場時代(1996年まで)か、それ以前からの参加者の皆様です。
○委託コーナーについての質問のためにわざわざ居残ったのですが、聞きたいことの半分も聴けない上、「あー」「うー」などと詰まって、予想以上に時間を食ってしまいました。他の質問者は、慣れている人ばかりでよどみなく質問しているのに、私一人だけみっともない。直前まで緊張していなかったのに、質問中相手がどういう表情や反応をしていたのか、全く上の空でした。
ご静聴いただいた同人の皆様、ありがとうございました。
○要旨では、私が詰まった部分は消し、私の責任で文意を変えない範囲で手直ししてあります。
問:委託コーナーが無くなって1年(正確には2007年夏のC72より)になります。サークル当選率が上がったとは言え、1万を超すサークルが抽選漏れで落選しています。委託を無くしたのは(…この部分失念…)、人員の問題でしょうか、CPS(コミケプランニングサービス。委託コーナーを担当していた)という業者の問題でしょうか。(CPSの問題ならば)売り子をこちら(参加者)で協力するといった、代わりの方法はないのでしょうか。
また、ここに居られるような方々は何とかするでしょうが、時間や距離の問題で参加申込すら出来ない(以下発言したか自信がない部分:、委託を頼むのも難しい)地方の同人も数多く存在します。どこかの知事の子供と違い、コミックマーケットは真に余人を持って代え難い行事と思います。その機会として、委託コーナーは欠かせないと思います。
委託コーナーの復活が出来るのか、そのための条件は何なのか、お聞かせ下さい。
答(筆谷芳行氏):結論から言えば、出来ません。
これについてはサイトなりカタログなりで事情を説明していまして、読んだからこそCPSという単語が出て来たのだと思いますが。
冬コミが3日間開催になったのも理由の一つです。もともと、冬の抽選率が低く、50%を切っていたのが委託コーナーを作った理由だった。ところが、サークル参加を申し込んでいないのに、委託参加する人が増えてきて、こちらの考えと変わってきた。
コミケットの基本は直接参加ですから、地方参加者などについては、同じジャンルの参加者と仲良くなって、委託を頼むという形で。他の質問でも言いましたけど、サークル間の相互扶助でやって頂きたい。
問補足:補足質問ですけど、委託申込資格を落選暦のあるサークルに限るというのは?
答:それはまた別の問題があります。
ビッグサイトには、委託のための場所がもう無い。
そうした事情から、委託コーナーは、以前から見直しを考えていたところにCPSの件があった。
それから見本誌のチェックは、CPSがよろしくやっていなかった。委託では、それ(見本誌チェック)をちゃんとやるのは難しい。
○せっかく事前に用意していた追加質問の内容を忘れていたり(帰り道で思い出すという典型的な失態)して、そのあたり中途半端に終わってしまいました。
筆谷氏の回答は、多くは「『同人誌委託コーナー』の中止について」での公式見解そのままであり、直接聞きに行った意味は残念ながらあまりありませんでした。私の力不足です。
○もともとこの質問をしたのは、委託コーナーは当然必要な存在と思っていて、中止(事実上の廃止)に踏み切ったのは是非以前に、自分の想像を遥かに超えていたこと。
○それがCPSという一業者をつまみ出すために行われたものであったとしたら、参加者無視も甚だしいと思ったこと。
○そして、委託コーナーの利用者は、直接参加が難しい人が多く、大手サークルはまず利用しない。その結果、発言力が小さい上に、反省会への出席は普通の直接参加よりさらに時間面で厳しい。これでは、委託コーナー利用者の声が無かったものとして話が進んでしまうのではないかと恐れたからです。
○米澤前代表が生きていればどうしたか。分かりません。分かりませんが、亡くなられた以上、考えてもあまり意味のないことです。ただ、タイミング的に、CPSにも関わっていた米澤氏が消えたことで、委託コーナーをも消しやすくなったと考えるのは不自然じゃないと思います。
その上で、今後考える課題としたい点を四つ。
○もともと委託の中止を検討していて、CPSの問題はきっかけに過ぎなかったのか、CPSという業者の問題なのか。筆谷氏の回答や公式見解を見る限り、前者のようだが…。
○コミックマーケットは落選サークルを出さないのが理想と米澤前代表も、市川現共同代表も言っている。委託参加は、落選が出る現状での現実的な代案だと思っていたのだが。それとも理想を完全に建前にして、落選サークルを出しても仕方ないと割り切るようにするのだろうか。
○当選率が上がったとは言え、毎回1万以上のサークルが落選している。参加申込総数が増えている以上、実態のないダミーサークルがあるにしても、なお相当の数になるだろう。ビッグサイトについても、以前は確かに委託コーナーは存在したわけで、中止後有料休憩コーナーになった。確かに休憩は過酷なコミケット会場では大切だが、委託コーナーを潰してまで作る必要があるのか。積極的なメリットが見えない。となると、会場側の事情か何かの口実か?
○見本誌について。拡大集会での回答によると、コミケットではわいせつ図画など、表現関係について「対面販売なのでサークルが責任持ってやってます」というのが言い分だが、委託では責任の所在が完全にコミケット本体に来るのが問題という。
委託はすぐにサークルに修正させたり出来ない以上、見本誌チェックを万全に行わないと、いざという時まともにコミケットが問題にされる。実際、性器などの表現について、C72から基準を厳しくしている。この状況で準備会がそれを重荷に感じたとしても不思議では無い。してみると、これが委託再開の最大の課題ということになるが…。
ついでに。質問の冒頭で、「作品を発表する自由の表現の自由、会場に集まって催しを開く自由の集会の自由、サークルを結成したり、止めたりする自由の結社の自由が三位一体であり、コミケットが今後とも護って行かなければなりません」と言いました。ただの枕ではなく、表現規制問題や本件にも繋げる予定だったのですが、これまたど忘れにより失敗しました。
以上を考えつつ、今後しばらくの経過を見て、また提言なり協力なり考えて行きたいと思います。
管理人 急行デューン号(K・MURASAME/上野 良樹)
2008年1月2日
最終更新 2008年9月20日